第2話(オッサンの熱烈ラブ)
金魚は他人の不幸を見て見ぬふりすることなかれ主義の屁たれ男だ。自分の尻に火の粉が飛んでくるのは御免蒙りたいから、ごたごたには関与しない。
だがしかし、かば親爺がさらっと最後に云ってのけたセリフだけは、聞き捨てておくわけにいかない。
「おいオッサン」
「なんだこら、言葉づかいに気をつけろ。わいは46才の
「1才どころか26才も上だよ。つーか馬延助さん、おれにも
「判ったぞ、金魚」
「ちっ!」
「お、文句あるのか?」
「ないよ。それより馬延助さん、わいらで払うとか勝手なことほざいたな?」
「ほざいたぞ。わいらの悶着が飛び火して、姉さんを怒らせたのだから、金魚も払う義務がある筈だ」
「あの厳ついオッドアイ鋏女が、どんだけ喰うと思ってやがる!」
「スペシャル炒飯の大盛りを喰うのか?」
「いや、あれは毎日ここにきて、水星風えび炒飯と火星風たこ炒飯と冥王星風いか炒飯をかけ2で喰うんだ」
金魚が右手の指を3本立て、左手の指を2本立てた。
「5皿も喰うのか。イケてる女じゃねえか」
「いや計算違ってる! しかもイケてるのかよ!!」
「ああ、いい女だ。なんとかものにしたいぞ。ぐぉぐぉぐぉ」
「やめとけ」
「あ? もしかして金魚も、あの姉さんに惚れているのか?」
「違う!」
「じゃあ、なんでだ?」
「あの女は今まで101人のプロポーズを断ったんだ。オッサンみたいなオッサンを受け入れてくれるわけない」
「あ、なんて云った?」
「いや、オッサンみたいな馬延助さんを受け入れてくれるわけない」
「ますます萌えてきたぞ! わいが102人目でプロポーズに成功して、あの姉さんを嫁にしてやろう。ぐぉぐぉぐぉ」
いやらしい馬延助の声に吐き気をもよおしながら、金魚が立ちあがった。
「馬鹿飯喰らいの
「ぐぉぐぉぐぉ、あの姉さん、蝦腕鋏と云うのか! かわいい名前だぞ、萌えー、萌えてきたー、熱烈ラブ、名前萌えー♪」
「アホやこいつ」
金魚がボヤいて店を出ていった。
†ちあはん皿皿 御品書き†
水星風えび炒飯 $395-
火星風たこ炒飯 $395-
冥王星風いか炒飯 $395-
スペシャル炒飯 [並盛り]$455- [大盛り]$655-
スペシャル半炒飯 $275-
スペシャル御老人様炒飯(大人の玩具つき) $395-
スペシャルなつかしの地球風炒飯 $685-
スペシャル13宝菜炒飯 $625-
スペシャルうどん炒飯[味噌・醤油・塩] $555-
スペシャル石焼きイモ入りビビンバ炒飯 $525-
― ― ― ― ― ― ― ―
(夏季限定)
ゴージャス冷やし海王星風炒飯 $635-
(年末限定)
ゴージャス年越し天王星風炒飯 $635-
※消費税は上記金額の800%を別途いただきます。
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