第9話
「作戦中に送り込んだスパイから、作戦前より作戦後の方が神聖連盟の人間が持つ力が明らかに弱体化していると報告してきた。その後の一ヶ月で条約都市の守護天使が力を奪われ、人類協力機構の第四山岳刑務所が襲撃され、ロワン王国がミディア中立同盟の経済協力協定を破棄し、ロワン王国内の諜報員と連絡が取れなくなった。この一連の事件で、あたしに協力を申込んだあの人間の姿が確認されていた。だから事件も含めて神聖連盟の弱体化について問い詰めた」
一息ついて私の黒パンを食べて、私の飲みかけだったミルクを飲むと話を再開した。
「天使と刑務所での事件は関わっていたことは認めたけど目的と詳細な情報の提供は拒否。ロワン王国については話すことは無いの一点張りだ」
「そういえばロワン王国での話しは同盟国だったイリュア王国でも話題になってたな。それで神聖連盟の弱体化は?」
「神聖連盟の人間に力を与えていた儀式的建造物の破壊に成功したからだとさ」
「そんなの聞いたことないよ」
「ああそれは神州機関も同じだったようだ。それからロワン王国のことと、神聖連盟の出来事は何らかの秘密協定に違反していると神州機関内部で意見が出てな、そこでミディア中立同盟をさっさと手中に収めないと十三使徒同盟が先にミディア中立同盟を支配するぞとの意見も出て」
「それじゃあさっさとミディア中立同盟を支配するかーと私達に指令がきたわけだ」
「ご名答ーその通りだ」
「それってあれだろ?考え過ぎってやつだ」
「ああ、あたしもそう思うよ」
「はー」と思わずタメ息が出る。つまり上層部のパラノイアに現場が付き合わされる形になってるわけだ。まあ別にいいけど。
「そんな上層部の妄想に付き合うんだ。私の要望も聞き入れてくれないと割に合わないよね?」
「ああ功音が送った暗号電報の内容は全面的に承諾された」
「それじゃあ今日は泊まりがけで調整作業しないとね!大戦以来だよ装甲服の調整に、身体に生体チップを入れるのは」
「何ワクワクしてんだよ」
「だって装備した感覚が凄い好きなんだよね~あのふわーと軽くて広がった感じが」
「急に語彙力無くなるじゃん。まあ言いたいことはわかるけど」呆れたように言われて少し不満だけどわかるなら良いか。
「それじゃあ行くか」
「ちょっと待って」
「何だ?」
「頼んでた首飾りと指輪は完成したの?」
「ああこのケースの中にあるぞ」
そう言いながら巫月が隣に置いてあったアタッシュケースを叩く
「持ってきてくれたの?ありがとう」
「今渡すか?」
「いや明日で良い」
「明日は日曜日だろ?昼から別の仕事が入ってるんだけど」
「大丈夫だ私も昼から予定があって帰るんだ。その時に渡してくれ」
「了解ー」
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