第8話

「それより何?あの指令!もう少し時間を置いても良いんじゃないの?神州機関は何を焦っているの?」

「はは……すまないね~それはこの前のあたしの任務でのことがきっかけでね」

「それじゃあ巫月の近況報告も兼ねて聞こうかな」

 巫月はその言葉を聞くと「長くなるからと」コカ茶を店員に注文した。


 戦場に出てからの葉っぱに頼る習慣は治ってないか。


「それじゃあこれからの話をする上で重要なあたしの所属部隊についてだ。あたしは9-6部隊の分隊長で今までに数々の仲間を失いながらも成功率100%で作戦を遂行してきた。あたしの任務は大体が要人の暗殺や機関員の救助、突発的な戦闘の沈静化だ。けど功音に無茶な指令が飛ばされる原因となった作戦は違った。十三使徒同盟は知ってるだろ?」


 最近世界各地の上層部を騒がせている組織名が出され、嫌な予感がすると身体中が信号を発する。


「ええ……たしか民間人の集まりだけど徹底的な秘密主義で内情は殆どわからなかったはずだよね」

「ああそうだ、最近まではな……」

「つまり?」

「十三使徒同盟に所属するエルフと人間が我々に接触をしてきた」

「何をしに……」

「奴らは我々の特務機関と協力関係を築きたいらしい……我々としては得体の知れない奴らを信用できないと追い返そうとしたのだが機関員を一人、十三使徒同盟に加入させれば情報網の一部を公開し、不死隊を譲渡すると言われたんだ」

「やけに具体的だけど、もしかして巫月に接触してきたの?」

「ああそうだ……最初はただの冗談とか冷やかしの類いかと思ったが、我々の部隊員の秘匿名を全員当てた上に、人間は自分の頭を撃って不死隊のメンバーであることを証明してきた」

小さく「ははは」と自嘲気味に笑って「本当に可笑しいだろ?」小さく呟いた。


「確かに……それでそのあとは」

「お察しの通りだ。すぐに作戦司令部に連絡したら司令部から連れてこいとの命令がでて連れていった。ここから何が起きたのかは知らないけど一ヶ月後には原因となった共同作戦をすることになっていたよ」

「その共同作戦で問題が起きたと?」


 コカ茶を喉に流し込み、ここからが本番だと

「いやその後だ。確か名前は巨人作戦だったかな。内容は神聖連盟の領内にある第一から第三までの防衛壁を破壊して巨人族を城内に侵入させて混乱を作り、情報を集めと神聖連盟の防衛能力を計る作戦だった」

「それは大胆な作戦だね。確か神聖連盟の人間は皆、何かしら強力な力を宿しているんじゃなかったかな?」

「ああだから前線は不死隊に任せて我々は内部の情報収集と、後方での防衛能力の観測をする観戦武官の護衛が主な任務だった」

「巫月の任務は?成功したの?」


成功したか聞くと「観戦武官の護衛だ。勿論、普段と違う任務だからといって失敗することは無かったぞ」と自信満々のご様子で答えた。


 「ここからが問題だ」とすぐに切り替え真面目な顔に変わる。

「この作戦は始めの方から予定外の連続だった。トールと名乗る神聖連盟の人間が不死隊を第一の壁にすら到達させなかったし、十三使徒同盟側は不死隊だけの作戦参加と聞いていたのに空挺部隊を作戦に投入してきた」

「それで任務は上手くいったけど作戦は上手くいかなかったってこと?」

「いいや違う作戦事態も上手くいった。その空挺部隊が壁を爆破させてな」

 と一息ついたところでコカ茶を飲み干し話を再開する。


「問題はここからだ」

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