第3話見せしめ
晴明は木の杭に河童を括り付けた。
河童の仲間が見えるように、高く。
一条はこの河童の公開処刑の方法を晴明がどうするのか分からなかった。
晴明は河童に近付き、
「やい、河童。散々人間を殺してきたな。仲間にこれ以上、人間に悪さをしないと説得したら、逃がしてやる」
と、言った。
ケケケケケケッ
河童は、口笛を吹いた。
すると、川の水面から複数の河童が頭を出した。
「オメェら、二度と人間様に手出しすんなよ」
と、河童は大声で言った。
「旦那、今日は暑い。頭の皿に水を掛けてくんねぇか?」
括り付けられた、河童は晴明に頼んだ。晴明は無視した。
それどころか、晴明は河童の足元に木々を積んだ。
一条は、
「晴明君、河童を許すのかい?もう、数人も人間を殺してるんだ」
「やいっ、河童のバカ共、人間様に手出しすると、こうなる」
と、言うと油をまいた木々に火をつけた。
炎は河童の足元を包む。
ギィヤ〜、熱い、熱いよ〜
人間のギャラリーはどよめいた。
河童の仲間はじっと、首領が焚刑になる様子を見つめていた。
「おいっ!河童ども、もし人間様に手出しすると、こうなる。オレはお前ら全員このように痛め付ける事ができる」
ギィヤー、ハァハァもう、手出ししません!
「本当か?」
ハイッ!
「頭の皿に、水を溜めてやる。皿を見せろ」
焚刑の中、河童の首領は晴明に頭の皿を見せた。
すると、晴明は胸元からオノを出し、首領の頭の皿目掛けてオノを振り落とした。
グハッ!
首領はオノで皿を真っ二つに割られ、死んだ。
そして、その死体を晴明と一条は担いで、川に投げた。
河童の仲間は、恐ろしくて直ぐに水中に消えて行った。
人間のギャラリーは、拍手喝采。
それ以降、川で死者が出ることは無くなった。
陰陽師・安倍晴明のデビューであった。
しかし、京都には怪事件が相次ぐ。
ウワサを聴いた左大臣・藤原道長は、安倍晴明の活躍を聞き、屋敷に呼んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます