第2話河童を釣る

翌日、晴明と一条は川に向かった。

晴明が妖怪退治を得意としているので、ギャラリーが集まった。

「おいっ、頼政君。誰がギャラリー呼んだの?」

一条は、とぼけて、

「人間様を殺した河童の最期を見せてやろうじゃねえか?それより、河童をどう捕まえる?」

晴明はキュウリを手にして、紐をを見せた。

「河童を釣る」

「晴明君、君は陰陽師で妖術遣いなのに、そこは原始的なんだね」

「まぁ見てなって」


晴明はキュウリ紐を結び、川に投げた。


ギャラリーは固唾を呑む。


だらりとした、紐がピンッ!と伸びた。

「一条君、かかった!一緒に引っ張ってくれ」

「わ、分かった」


2人の大男は紐を引っ張る。

向こうも負けじと、紐を引っ張る。

「一条君、特別な仕掛けを準備したんだよ」

「何を」

「これ」


と、晴明は鉄の輪っかを見せて、その輪っかには線が付いていた。

「これはな、大間のマグロ漁で漁師がマグロが針にかかった時、これを糸に引っ掛けて直接マグロにエレキを流して失神させるんだ」

と、一条に説明した。

「晴明君、そのエレキって何だい?」

「一条君。カミナリあるだろ。あれはエレキなんだ。それが、この箱で人工のカミナリを作るんだ」


安倍晴明は、紐に輪っかを引っ掛けて水中に投げた。

紐が急に軽くなった。

2人の大男は紐を手繰り寄せ、獲物を捕まえた。


失神した、河童が揚がった。

紐で腕と足を縛り、木の杭に括り付けた。

河童は意識を取り戻した。

「やいっ、河童。オメェ、人間を殺したろ?」

ケケケケケケッ。

「人間の尻子玉は、好物だからな」


「どうする、晴明君」

「まぁ、じわりじわりとな」

晴明は、ニヤリとした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る