第8話 守銭奴探索者、弟子が出来る。
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あの後も泣き続ける西園寺を落ち着け、泣き止むのを確認してから話を切り出す。
「もう大丈夫か?そろそろ話を進めたいんだが…」
「グスッ…。ごめんなさい、もう大丈夫です。お願いします…」
まだ西園寺の目元は赤かったがさっさと話を進めたほうがいいと判断する。
「まず、弟子にするにあたって確認したいことがある。俺のようになりたい、って事だったが具体的にはお前はどうなりたいんだ?」
最終的なゴール地点も共有をしておかないとどういう指導をするのかすらわからないため、これは西園寺に確認しておきたかった。
「……、そう、ですね。私の目標はシュウさんと同じ、Sランクになることです」
「…やっぱり最終地点はそこになるんだな?」
「はい、あのドラゴンを歯牙にもかけない強さとなると私の目指す先は必然的にそこになります」
「Sランクか…」
西園寺をじっと見つめる。………、正直、西園寺の潜在能力はここから伸ばせて、せいぜいがAランク上位といったところだろう。Aランクの最上位には一歩劣るレベル。そこが西園寺の限界のように感じた。
ただ、実はSランクになれるかは才能によって決まらないというのが俺の見解だった。正直Sランクになれるかどうかは何度死線をくぐったか、何度生きるために生き物としての枷を外せるか、そちらのほうが重要だと俺は考えていた。
才能と努力で上り詰められる人間としての
「まあ、そこはわかった。教える以上はSランクにすることを目指そう。ただ二つ、条件がある」
「条件、ですか」
「ああ、一つ目はシンプルに金の話。お前を弟子にするにあたって俺は報酬として3億を要求する。ただ、今払えと言っても出来るはずもないからな、成功報酬でいい」
3億の報酬、これは俺が出せる最大限の譲歩ラインだ。この条件を呑めないのなら弟子にするという話もなしだ。
西園寺は3億という額に面食らったのか少し驚いた顔をしていたがすぐにうなづく
「わかりました。Sランクになれた際には3億円の報酬を必ずお支払いします」
「わかった、たのしみにしてる。それじゃあ二つ目の条件だ、お前に修行をつけるにあたって俺のチャンネルで配信を行いたい」
修行の配信、というより鍛錬の方法の配信。これを西園寺を通して行いたかった。
「私は構いませんが…、シュウさんこそいいんですか?貴重な技術の流出が起きてしまうのでは…?」
「西園寺の疑問はもっともだな。だが安心しろ、配信に写せないものは乗せる気がないし、そもそも配信に乗せる予定の技術はSランクはもちろん、Aランク上位にもなれば知る程度の内容だしな。いずれバレる技術なら俺がここで金に換える」
情報を独占してたAランクの何人かには恨まれるだろうが、相手は取るに足らない連中だ、問題ない。Sランクはそもそもそんな情報に価値なんて感じてない連中ばかりだしな。
俺の話に西園寺は納得した様子で。
「なるほど、そういう事であれば私からは問題ありません」
「よし、これで晴れてお前は俺の弟子だ。お前はお前の夢の為に、俺は俺の夢の為に協力させてもらう」
俺は西園寺に手を差し出す。西園寺も俺の手をしっかりと握り返してくる。
「これからよろしくお願いします。…師匠とかって呼んだほうがいいですか?」
「やめろ、普通に今まで通りでいいっつーの」
「あはは、シュウさん私頑張りますね」
無邪気に笑顔を浮かべる西園寺の顔を見て俺は、まあ頑張ってみるか…。と柄にもなくやる気を出していた。
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その後、西園寺とは今回の当所の目的であったコラボの打ち合わせを行い、配信の内容や日時などを確認した。打ち合わせが終わるころには日が沈み、西園寺を送り届けた後、家に戻ってきていた。
「俺に弟子ねぇ……」
今日はホントに疲れた…。なんせいきなり弟子が出来たのだ、考えることは山ほどあった。
「Sランクにするたってなあ…、Sランクは努力とか才能じゃなく、なれるかは運が絡むからな…」
目下、一番の悩みは西園寺をどうやってSランクにするか、であった。正直ドラゴンにリベンジする程度の力なら半年ほどトレーニングすれば何とかなっただろうが、それを歯牙にもかけないとなるとやはりSランクにならなければいけないだろう。
………考えても仕方ない、か。
なにも今日明日Sランクになりたいというわけではない。であればそれまでは普通にトレーニングをさせるだけだ。
それにSランクになるやつは勝手になるからな。俺にそのお膳立てまでは出来ないが、せめてその時に無駄死にしない程度には鍛え上げてやろう。
「そうと決まれば今日はもう寝るか」
もう結構な時間だ。そろそろ寝て明日に備えておくべきだろう。
なんせ――
明日は俺と西園寺の初コラボの日だからだ。
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短いですが今日の更新は以上です!
明後日は二話更新…の予定なので許してください。
↓ざっくりと探索者の強さの指標になります。
Sランク 人間じゃない。単体で国に喧嘩が売れる
↓
Aランク 一部の天才的な才能の探索者が限界まで才能を磨き上げた事実上の最高ランク
↓
Bランク 才能を磨いた者や死ぬ気で努力と運が味方をした凡才レベル
↓
Cランク 有能な探索者、ベテランレベル
↓
Dランク 一般的な探索者、一番数が多い
↓
Eランク以下 ビギナー、またはエンジョイ勢などの初心者組
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