第11話 スキル……大事なこと忘れんといて!
覚える? ……やばい何か、覚えなあかんこと言われてたっけ。
あ、ぇぇえっと……。
「スキルよ」
「スキル……は? ……どうやって覚えるんですか?」
キョトンと首を傾げた留美を見て、クリスティーナさんが半笑いで口元を隠した。
そういえば杖持ってるのに、魔法覚えるとかの話一切なかったな。頭パニックになってて、考えがそこにいかんかった。
「あ、あら? 言ってなかったかしら?」
目に見えて焦るクリスティーナと名乗る男に不信感が募る。
私を含め、全員が頷いた。
「ご、ごめんなさいね。危うく死なせるところだったわ。聞いてよかった」
「クリスティーナさん。そういうの、かなり困ります」
あっれ〜? もしかしてこの人、信じたらダメなタイプ? だから人も少ないんやろうか。
サポート役なら、ちゃんとやれよ。
うわ留美今めっちゃ傲慢や。でもちゃんとしてもらわな、こっちの生死か変わってくんねんで。サポートするって決めたならちゃんとしてもらわんと。
不信丸出しで見上げると、クリスティーナさんは慌てていた。
「わ、分かってるわよ。その……ごめんなさいね」
笑顔を浮かべる意味ないな。
かなり焦っているようだ。もう少し責めたら怒るかな? いやこれは責めていいはず。傲慢にいこう。
私が口を開こうとすると、クリスティーナさんが手を叩いた。
「そうだ。お詫びに、二つスキルを覚えさせてあげる! どう? これで許してくれないかしら?」
本気で申し訳なさそうにしているので、三人の方を振り返ってみる。すると、三人とも、私から顔を反らした。
ちょっ、酷い。留美が決めろって事?
もう少し何か取れそうやけど………取れる分、取るべきやろうか。印象を悪くしない方がいい? 頷いとく? でも、言われたことに対して交渉もせん、はいはい頷く、扱いやすいカモやと思われるのは困る。
「あー、もし、適性が合わなかったら、合うのが見つかるまで、教官に話をつけてあげる。ポーチも渡し忘れていたし……。本当に、今回のことはごめんなさい」
私の表情が良くないと思ったのか、追加の条件が出てきた。
適性が合う合わないという言葉に困惑しかないが、もう頷くしかないだろう。これ以上は、相手を不快にさせるだけだ。
「分かりました。それでいいです」
「良かったわ。……アニーちゃん、ちょっと私離れるからここお願いね!」
「はーい。いってらっしゃいクリスティーナさん」
別の受付の人に声をかけると、カウンターの向こうから出て来た。
案内してくれるのはありがたいけど、受付離れていいのか。
人気ないにしても、受付から勝手に離れるって、仕事放棄してない? ……この人実は偉い人だったりするんかな?
スキルは、各適性ごとの教官に習うそうだ。
そしてスキルを使うためには、
適性とは、先天的、後天的に手に入れることができるもの。
習うにはお金が必要。
金額や時間は各教官ごとに異なる。
そして、各町に一人はいるらしい。「ゲームのスキル教官かい」って雷と話していたが、きっと似たようなものだと思う。
適性とか、職業とか、聞いていないことばかりだった。サポートする内容、教えるべき情報、リスト化したほうがいいんじゃない?
死亡率気にするなら、そう言う細かいところって大切やと思うねん。
まぁ、これが好意での行動やって言うんやから、そんな義務ないけどな。
クリスティーナさんが、アイテムポーチと呼んだ物に、手を突っ込んでみる。
底はなく、手は空を切った。
自分の鞄を詰めてみると、入り口が広がってすんなりと入っていく。
これはチートじゃないのか。
そんな感想を口にせず、私と雷はキャッキャと、アイテムポーチで遊ぶ。
どうやら留美専用になってしまったようで、雷の手はポーチには入らない。
「取り出せなくなった」と騒ぐと、クリスティーナさんが振り返って「思ったものを取り出せる」と教えてくれた。
入れたものを忘れてしまうと、取り出せなくなるらしい。
なんやその仕様。……入れたものリストが必要かもしれない。
冷蔵庫の奥底から出てくるという、伝説のカビた食材くらいやばい、状況になるかも。
画像でしか見たことないけど、あれはまじ恐怖映像や。
クリスティーナさんから説明を聞いていれば、思い出せなくなった場合の対処法もあるもようだった。
『中身を強制取り出し』というキーワードを唱えて、一分手を突っ込んだまま待つと、全て出る仕掛けになっているらしい。
他にも、ポーチはポーチの中には入らない。
ポーチは汚れない魔法がかかっている。
ポーチは(小)(中)(大)があり、その容量は、数、重さ、体積、全てにある。なので、小さくて重いものを沢山入れるとと入らなくなるし、逆に軽くて大きいものをたくさん入れても入らなくなる。
「バランスに気をつけて使うように」と言われた。
意外と制約があるんやねポーチって。
具体的な数字は内緒らしい。
なんでだよ。
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