【第十九話】あれ? なんかすごい楽しそうなことなってんじゃん! 私のいないところで:一夏愛.txt
結局、飽き性の私がファミレスなんかでそんな時間も潰せるわけなく部屋に帰ると、想像していなかった光景が広がった。
まず初めに、秋葉さんがうちにいる。
うん、美人だ。相変わらずの引くぐらいの美人だ。
その秋葉さんが体育座りで震えている冬至君を抱きかかえてヨシヨシしている。
それを千春がうらやましそうに見ている。
あれ? なんかすごい楽しそうなことなってんじゃん! 私のいないところで。
何がどうしてこうなったかはわからないけど、ものすごい楽しそうじゃん?
「えっと、なんか楽しそうなことになってんじゃん?」
「あっ、愛……」
あれ? 千春が私が帰ってきたのにも気づいてない? それに千春の奴、怒ってもない?
あれー? 私のほうが飽きられちゃった? それは予想外かな。
でも、ま、この現状すべてが予想外だし? 些細なことだよね。
「とりあえず説明してもらっていい?」
「それは愛、あなたのほうでしょう? 誰と浮気してたの?」
あ、ちゃんと怒ってらっしゃる?
「若草先輩だよ」
うん、隠しても仕方ないしね。
素直に教えてあげよう。
あー、先輩にも迷惑かけちゃうかな? まあ、当事者ということで。
「あー、うん、とりあえずそのことは後で? いや、今? ちょっと待って、気持ちの整理が色々ついてない」
あれれ? 千春もかなり混乱してる感じ? ほんとに何があったのよ?
あー、私もその現場に居たかったな。
ファミレスなんか行くんじゃなかった!
「秋葉さん、何があったんですか? 教えてよ、ね?」
「ば、じゃなくて、私は、は、です! あ、き、は! です!」
あれ? なんか怒らせちゃった?
これは気を付けないといけないところみたいね。点々はなしね、はいはいっと。
というか、浮気現場を見られてはいるんだから、そういう反応にもなるのか?
じゃあ、私が千春と付き合ってるってことも知ってるのかな?
「あ、すいません、で、何があったんですか?」
「いや、あの、私は部外者なので私から言うのは憚れます」
えぇー、この状況で秋葉さん、部外者なの?
私の目には、なんていうか、中心にいる気がするんだけれども?
「ごめん、千春。謝るから、なんなら土下座でもするから、とりあえず現状何があったか教えてくんない?」
「土下座って…… 何があったか知りたいだけで、悪いとも思ってないでしょう?」
流石千春だな。なんだかんだで私にしては長く、あれ? 一番長く付き合ったのかな? そうかも?
もうそろそろ半年くらいにはなるしな。
私にしてはえらく長く付き合ったもんだ。
「うん、まあ、知っての通りそういう奴だし、私」
「知ってる。けど、まあ、相手が男なら、仕方ないかなってところはあるから」
そうは言ってるけど、千春は渋い表情を見せてくれる。
んー、でも、それほど怒ってはなさそう?
少なくとも後には響きそうにない?
「千春のそう言うところ、好きだよ」
「でも、今日は絶対相手しないからね」
「えー……」
ま、仕方ないか。浮気したのは私だもんね。
「それと、若草先輩と交えてってのも絶対にないからね? というか今後一切、複数人でとかもなし!」
「え? えぇ…… そんなぁ……」
あー、それは残念だ。
千春め、私がどうしたら残念がるか流石に熟知してるな。
「浮気したんだから、それくらい飲んでよ」
「じゃあ、この四人でどう?」
この状況でそう返しちゃうのが私なんだよね。
「はっ!? お、おはぎの君を交えて!?」
あれ? あれれ? 千春の奴、そう言うことか。
まあ、気持ちはわかる。秋葉さん、美人だもんね。
これは惚れちゃっても仕方ないよ。
しかし、それこそ面白いぞ!
この四人でやったら愛憎入り乱れて、きっと楽しいよ! すんごい気持ちいいよ!
「四人ってなんですか?」
あ、秋葉さんの目が座っていらっしゃる?
ちゃんと意味を理解している感じかな?
冬至君のほうは完全に反応なしか、こっちはつまらないな。
「ここにいる人達でエッチしないって話? どう? 嫌ならしないけど」
「嫌です。というか、軽蔑します」
うわっ、これほどの美人に睨まれると流石に怖いね。
というか、かなり嫌われちゃったか。
まあ、私よりも美人だし、私にも甘くならないか。
「アハハ…… やっぱりそういうタイプだよね。うん、なんとなくわかってた。でも私、そういう奴なんだ」
で、結局、何が起きてこうなったの?
知りたいんだけど?
誰も教えてくれないのよね。
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