【第十五話】あれ? これってなんかまずい感じ?:一夏愛.txt

 ゴツイ割に繊細で割と優しい精神の持ち主の若草先輩と別れた後、ファミレスに入って私は一人考える。

 もし冬至だっけ? そんな名前だったよね? 彼が千春に浮気のことをばらしていたら、千春は荒れてるだろうなぁ、と。

 なら、少し、ここは二時間くらいは遅れて帰ろう。

 その頃には少しは千春の怒りも収まっているかもしれない。

 なんか、あれでしょう? 人の怒りってあんまり長く続かないんでしょう?

 なんかで見たよ、私。

 私はあんまり怒ったことないからわからないけど。

 怒る前に、まっ、いっか。って思っちゃうんだよね。

 それで一度、当時の恋人に、お前は何事も真剣になれないからだって言われて、まあ、ふられたんだよね。

 まさにその通りって自分でもそう思っちゃったよ。

 そんときも怒りっていうよりは、それに気づかせてくれて、ありがとうって、感じに返したら、引かれてたけど。

 まあ、そんなわけで何事にも真剣になれない私は、何事に対してもいい加減でルーズなのよ。

 もちろん千春が怒るのはわかるよ。理解できるよ。

 そして、それをなだめるのも好きよ?

 ただ、すっきりして性欲が一時的ない今は、それもめんどくさいんだよね。

 だって、ほら、私の原動力、全部性欲からだし。

 それって千春じゃ私の性欲は満足してないってことなのかな?

 まあ、千春の出方次第でいいでしょう。

 とはいえだよ、今はまだ千春とは別れたくはないんだよなあ。

 ということは、やっぱり時間をおいて帰ろう。それがいい。

 うん、そうしよう。

 そうすると暇だな。

 ここで二時間も一人で潰せるかぁ?

 若草先輩を呼び戻してもう一戦…… は、流石に無理か。

 あの人、見た目の割に繊細なんだよ。

 あっちのほうは荒々しくて好きだけど。

 うーん、それにしても秋葉さんと冬至君、あれは付き合ってるのかな?

 それともただ帰り道が同じだったというだけ?

 冬至君の性格考えれば、そうだよね。

 でも、私的には…… 付き合ってて欲しいな。

 そしたら、ほら、四人で楽しく遊べるじゃん?

 みんなで同アパートでファミリーだよ。

 なんなら秋葉さんを寝取ることも、できるかもしれない。

 そしたら、冬至君に千春をあげて、WIN-WINじゃん?

 それとも、だらだらと四人で爛れた関係続けるのも悪くないかも?

 問題は千春がどう出るかだよな。

 でも、千春のあの感じは、恐らく若草先輩辺りなら三人でもOKしそうなんだよな。

 もともと千春も私と出会う前から貞操観念低いほうだし。

 うーん、これは夢が広がるね!

 なら、いっそのこと、あのアパートを折節大のラブホ代わりにさせてもらって……

 ってのは、流石に管理人さんに悪いかな?

 でも、管理人さん、そもそも私達の隣の部屋に住んでるんだよね。

 冬至君に千春の声が聞こえていたとなると、管理人さんにも聞こえているってことだよね?

 まあ、それは流石に倫理的にやめておこう。あんまり周りを巻き込むのはよくないしね。

 私はこういう性格しているからね、なるべく、まあ、なるべくね? 関係のない周りには迷惑かけないようにしてるんだ。

 私はもう色々と破綻しちゃってるけど、それに人を巻き込もうとは思わないからね。

 そうなったら、楽しそうだなってだけで。

 千春にも無理に多人数での行為を強要したいとは思わないし。

 あ、でも、私が浮気しちゃったから、そう取られてもおかしくはないのか?

 私はただの欲求不満だっただけで。

 あれ? これってなんかまずい感じ?

 なんか千春との終わり見えちゃった気がするなぁ。

 千春のことまだ好きなんだけどなぁ。

 うーん、なら、もういっそのこと秋葉さんを直で口説いちゃう?

 でも、秋葉さんはエッチなことさせてくれるまで長そうだよな。

 そのつなぎも欲しいんだけど、許してくれなさそうだよね。

 我慢できないよね、私。だって苦手だもん、そういうの。

 それは考えないことにしよう。そうなったら、その時の気分でいこう!

 なら、早いほうが良いよね。

 まっ、まだ千春と終わるとは決まったわけじゃないしね。




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