【第十六話】ちょっとくらい聞き耳してもいいでしょうか?:秋葉実.txt
「あっ、冬至さん、ご無事ですか?」
特に目立った外傷はないようで一安心です。
話し合いをした、という割にはそれほど時間もたっていないですけど、どうなったんですかね。
どうしても気になってしまいます!
「え? はい。全然平気ですよ、何にもなかったですから」
「そう…… なんですか? でも、その…… 私なんて言っていいのか? 平気なんですか?」
冬至さん、あんな凄い顔をしていたのに、今は本当に全然怒ってなさそうですね。
それにしても何もなかったって、冬至さんと一夏さんはもう修復不可能ということでしょうか?
まあ、そうですよね。あそこまでしっかりと浮気現場を見てしまっていますからね。
「平気…… じゃないですよ。でも、俺には…… 結局、何も言えることはないですし」
やっぱり! 平気ではないですよね。
恋人の浮気現場を目撃して平気で言われるわけないですよね!
私だったら、包丁を持ち出しちゃうところですよ!
「そう…… なんですか? もっと怒ってビシって言ったほうが良いと、私は思うんですよ」
うんうん、こういう時は怒ったほうがいいですよ!
一夏さんにビシっと言って、関係を修復させるべきですよ!
「そうなんですか? そうか、そうかもしれません」
うんうん、まだまだお二人はどうにかなりますよ!
だって、お二人はお似合いですからね!
「では、俺は用事ができましたので」
「はい! 頑張ってください!」
「ありがとうございます、決心がつきました。がんばってみます!」
そう言って冬至さんは一夏さんの玄関のインターフォンを鳴らしました。
あれ?
でも、一夏さんはまだ帰ってきてないはずですよね?
今ここにいるのは春野さんですよね?
でも、ここは一夏さんの部屋だから? でもいるのは春野さんで、あれ? あれれ?
しばらくすると、神妙な面持ちの春野さんが出てきて、
「千春、話さなければならないことがある」
って、すごい真剣な表情でそう言って、春野さんも頷いて、冬至さんが部屋に入っていきました。
男女二人が同じ部屋で?
あれ? あれれ? ここは一夏さんの部屋だけど、春野さんも同居なされてて、冬至さんと春野さんが二人っきりで浮気した彼女の部屋に?
こ、これって……
新たな修羅場なのではないですか!?
ちょ、ちょっとくらい聞き耳してもいいでしょうか?
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