第11話 救助

「「兄ちゃん!」」

俊太くんと勇太くんの声で上を向くとそこには無表情の凌空くんがいた。

「あ、えっと……」

私がなんといいのか分からなくて固まっていると、凌空くんは大きく両手を振りかぶった。

私は叩かれると思い顔を下げて、両手で頭を守った。そのすぐ後にバシーンという音が聞こえてきた。何だろうと思い上を向くと俊太くんと勇太くんが頭を両手で抑えていた。

「えっ!」

私が驚いていると何事もなかったように凌空くんは俊太くんたちを抱え上げるとそのまま玄関へと消えていった。しばらくして、鍵が閉まる音と俊太くんたちの泣く声がした。

「うん?」

私はどうしたらいいのか分からなくなって固まっていると、凌空くんが1人で戻ってきた。

「えっと、あ、」

私はやっぱりどうしたらいいのか分からなくてあたふたとしていると、わきの下に手を入れられ、あっという間に持ち上げられてしまった。

あ、私も追い出される!私はそう思い力いっぱい凌空くんに抱きついた。だけど、凌空くんは玄関の方には向かわず、洗面所へと移動した。

洗面所で私を下すと凌空くんは私を見て、その後に雑巾をとると洗面所から出て行った。

「何だったんだろう?」

私はよく分からずになんとなく凌空くんの視線が行っていた気がする下の方を見ると、ズボンがぬれていた。

「っ!」

私は悲鳴を上げそうになったが、必死にこらえた。どうやら私は恐怖のあまり、お漏らしをしていたようだ。それで、凌空くんは雑巾を持っていったのか。と凌空くんの行動が分かって納得している私もいて、もう私自身よく分からなくなってきた。


とりあえず、シャワーを浴び、着替えリビングに戻るとそこには救急箱を持った凌空くんがいた。

「あ、えっと、色々とありがとう。」

私がお礼を言うと凌空くんはコクリと一度頷き、手元に置いてあったホワイトボードをこちらに向けてきた。

【痛いところない?】

「うん。あっちこっち痛いけど、あざにはなってなかったよ。」

私が答えると凌空くんは少し考えて

【痛いところは冷やしておいた方がいいよ。

冷やすのは冷凍庫に保冷剤が入っているから、それをタオルに巻いて使って!】

と書いたホワイトボードをこちらに見せてきた。

「うん。そうするね。」

私がそういうと凌空くんは頷いた。

【僕は2人を𠮟ってくるね。】

凌空くんの書いたそのホワイトボードを見た瞬間なぜか、涙が出てきた。

【大丈夫?】

「うん。大丈夫、大丈夫だよ!」

と言ったのに全く涙は止まらずにどんどんと溢れてきた。

そんな私を見て凌空くんは私の横に座ると私を抱きしめて、頭を撫でてくれた。

なぜか、それに安心することができていつの間にか

「怖かった、怖かった~」

と言いながら泣いていた。

凌空くんは何を言うでもなく頭を撫でながら、抱きしめてくれた。

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義兄弟は手がかかる カエル @azumahikigaeru

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