第6話 家族揃っての夕食(争奪戦)

「夕食ができたらしいよ。1階に来てだってさ。」

私が部屋で荷解きをしているとお父さんが私の部屋にやって来た。

「分かった。今行く。」

私はお父さんの後をついて1階に下りた。

「あ、そこに座ってね。」

陽子さんは私を見ると凌空くんの横を指さして言った。

「あ、はい。」

「ごはん、このぐらいでいい?」

私が席に着くと陽子さんは私にごはんを見せながら聞いてきた。

「大丈夫です。」

「それじゃあ、食べようか。」

全員に味噌汁とごはんが配膳されたのを確認して陽子さんが言った。

「「「「「いただきます。」」」」」

みんなで手を合わせて挨拶をして夕食が始まった。するとすぐに俊太くんと勇太くんが取り箸を持って机の真ん中に置いてあるおかずを取り始めた。非常に素早く大量にとっていくのに唖然としていると横から凌空くんが私の取り皿を取って、おかずを取ってくれた。

「あ、ありがとう。」

そして、いただきますと言ってから5分もしないうちに机の上にあった大皿の上に載っていたおかずはなくなっていた。

「大丈夫?食べ負けていない?」

陽子さんが私に聞いてきた。

「大丈夫です。最初に凌空くんが取ってくれたので食べれてます。」

「そう、良かった。」

陽子さんはどこか安心していた。

「ところで、次郎さんは大丈夫?」

「いやぁ…ご覧の通りです。」

お父さんの手元を見てみるとそこには出された時と一切何も変わっていない取り皿があった。

「僕も男子兄弟なので、子どもの頃はおかずの取り合いをしていたから、分かっていたはずなのに、とり負けました。」

お父さんは苦笑しながら言った。

「後で、何か追加で作るね。とりあえず、俊太と勇太が食べ終えるのを待ってね。そうしないと、出した端から無くなっていくから。」

「はい。待ってます。ところで、陽子さんは食べれてますか?」

お父さんが陽子さんに聞いた。

「私もご覧の通りです。いつものことだから気にしないで大丈夫だよ。」

そう言われて陽子さんの取り皿を見てみると、お父さんみたいに何も取れなかったというわけではなさそうだが、ほとんど取れていないようだった。

そんなお父さんと陽子さんを見ながら、もしかして凌空くんが開始早々に私の取り皿におかずを取ってくれていなかったら私もお父さんと一緒で取り負けていたのかな。そう考えると、凌空くんに感謝だなぁ。と思いながら私はご飯を食べていた。というか、これ私やっていけるかな?などと考えていると俊太くんと勇太くんが食べ終えたようで、

「「ごちそうさま。」」

と言って食器を下げて行った。そのすぐ後に凌空くんも食べ終えたようでそのまま両手を合わせて頭を下げると食器を下げて行った。

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