第31話 広瀬と宇野のお仕事07

「私みたいなキメラを相手に、世界に5つしかない国宝級の武器のうち2つが揃う

 こんな愉快な事、ありませんことね」


メデゥサは、体をくねらせて下半身を蛇の姿へと変えた。


「さぁ、来なさい!」


「メデゥサは、大人しくしていてくれ!

 ここは、俺が……」


和哉は、そう言ってメドゥサの前に出た。


「そんな事が出来る訳ありませんことよ」


「君の体は、そんな事が出来る体じゃないか……!」


「隙だらけですよ!」


六花は、そう言うと和哉にスリーピングの呪文を唱えた。


「待ってくれ……

 メデゥサは……」


和哉は、そこまで言った所で、ぐったりと倒れた。


「ありがとう」


メデゥサは、六花にお礼を言った。


「貴方にお礼を言われる筋合いはありませんよ?」


「いえ、これで心おきなく貴女達と戦う事が出来ますと言う事ですわ」


「あら、それじゃ大きなハンデを背負ってしまった……

 と言うことかしら?」


「そう言う事になりますね」


広瀬は、無言で光りの刃を伸ばした。


メデゥサは、その刃を片手で受け止めた。

そしてその瞬間、宇野は、毒牙爪でメドゥサの体に斬りかかるも残った片手で受け止めた。


「あら、姑息な真似をするのですわね」


「これは、ルール無用の勝負だからね。

 Youに手加減できる訳ないじゃない」


「じゃ、私も本気を出させていただこうかしら……?」


「本気?」


メドゥサは、目をきらりと光らせた。


「アイ・ビーム!」


メドゥサの両目からビームが出た。

六花は、それを紙一重で避けた。


「うわ……

 びっくりした」


六花が、ゆっくりと後ろを見ると壁に大きな穴が空いていた。


「破壊力抜群ね」


「私のとっておきの技でしたのに……」


「そう……

 そろそろ良いかな?」


六花は、呪文の詠唱を始めた。


「貴女を生け捕りにするように言われてるの。

 少しの間眠るだけだから、大人しくしていて」


「私が何をしたというのかしらね……」


「貴女は、多くの男性をチャームで操り拉致監禁している。

 それだけでも重罪よ?」


「私は、悪くありませんわ」


「スリーピング」


六花は、ゆっくりと呪文を唱えた。


「私にその呪文は、効きませんわ」


「え?

 どうして?」


「私は、そのようにして作られたキメラだからよ」


「私は、貴女を殺したくありません。

 出来れば投降してくれませんか?

 それが、お互いの為だと思うのですが……」


六花は、優しくメドゥサに言った。


「どっちもお断りですわ……」


「そう、なら仕方がないわね……」


六花はそう言うと間合いを開けペンを取り出した。


六花は、素早くペンを取り出すとメドゥサに向けて投げた。

しかし、そのペンはメドゥサに当たることなく、和哉の左肩に命中。

和哉が、メドゥサの盾になったのだ。


「和哉、どうして……」


宇野は、目を丸くさせて驚いた。


「告井さん、どうして……」


六花が、和哉に尋ねた。


「メドゥサのお腹の中には、赤ちゃんがいる」


「え?」


六花は、驚いている。

そして、宇野は、不安そうに和哉に尋ねた。


「それって、和哉の……?」


「違う!」


和哉は、ゆっくりと首を横に振った。


「私から話しますわ」


メドゥサは、ゆっくりと口を開いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る