第29話 広瀬と宇野のお仕事05

―― 1時間後


「広瀬さん。

 そろそろ疲れたんだけど……?」


宇野は、そう言ってため息をついた。


「これで、何人目?」


「120は、倒してますね」


「流石にこの館に120人は、多すぎでしょう」


「エアーズゾーン?」


広瀬の質問に、六花が軽い口調で言った。


「エアーズゾーンと言うのは、空間魔法の一種で、空間を広げる事が出来る時空魔法なの」

「へぇ~~

 Youは、魔法に詳しいんだねぇ~~」


「私も一応、国家魔道師資格を持ってますからね。

 と言うか、編集者になるには、国家魔道師資格か国家騎士資格のどちらかが必須なんですよ」


「編集者になるのも大変なんだね……」


広瀬は、そう言ってため息をついた。


「作家さんって変わりモノが多いんですよねぇ~~

 辺境の地に1人で行かなければ、いけない事もあります。

 盗賊や山賊に海賊にモンスター。

 それらに勝てる位の力が無いと命に関わりますので……」


「へぇ~~」


宇野が、そう言って男を斬る。


「それは、そうともう人が出なくなったね……」


「次の部屋に移りましょう」


広瀬は、そう言うと部屋の扉に手をやった。


「開けたらドカンとかないよね?」


「……宇野さん。

 そう言う事は、開ける前に言ってくれるかな?」


広瀬が、そう言うと宇野は、苦笑いを浮かべた。


「何もないね……」


扉の向こうには、誰も居なかった。


「でも、歌声は聞こえる……

 この声は、間違いない!

 和哉の声よ!」


宇野は、そう言うと歌声が聞こえる扉を開けた。


「和哉ーーーーー!!」


扉の向こうでは、和哉がソロで歌っていた。


「貴方達は、誰?

 ここには、誰も入れないはず……」


美しい顔をした女性が綺麗な声で広瀬達を見つめた。


「Youが、メデゥサ?」


「だとしたら、どうなのかしら?」


「貴方を捕まえに来ました」


六花は、その言葉と同時にボールペンを投げた。

しかし、メドゥサは、そのペンを叩き落とした。


「手がひりひりする。

 このペン、普通のペンではないですわね」


メデゥサは、余裕の笑みを浮かべて笑った。


「あら、そんなに珍しい?」


六花が、そう言うとメドゥサは微笑む。


「武器に魔力を込めているのかしら?」


「ご名答」


「じゃ、こんなのはどうかしら?」


六花は、そう言うと懐から原稿用紙を取り出した。

そして、その原稿用紙に魔力を込めると六花は、メデゥサに向かって放った。


「フレアアロー!」


和哉が、指先から炎の矢が飛び出し、その原稿用紙を燃やした。

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