第17話 魔神降臨03

「玉藻、少しだけ目を閉じていてくれないかな?」


「何故だ?」


「いいから……」


「わかった。

 丹歌を信じる」


「ありがとう」


丹歌は、ニッコリと笑った。


「ダークゲート」


丹歌が、呪文を唱えると、丹歌とザンギスの体を漆黒の闇が包み込んだ。


「な、なんだ?

 こんな魔法。

 俺は知らないぞ?」


「これは、俺の詩魔法。

 つまりオリジナルの魔法なんだ……」


丹歌は、そう言ってザンギスを睨んだ。


「ミ・ラージュ」


丹歌が、そう呟くともう一人の丹歌が現れた。


「そんな初歩的な魔法で俺を倒せるとでも?」


「ミ・ラージュ」


二人に増えた丹歌が、もう二人現れる。

丹歌は、合計四人になった。


ザンギスは、近くに居たもう一人の丹歌に対して斬りつけた。

しかし、丹歌は、その剣を避けようともせず片手で受け止めた。


「こっちもアストラル・アームを使えばザンギスさんの剣を受け止める事が出来ます。

 この理由、ザンギスさんなら解りますよね?」


ザンギスは、舌打ちをするとその場を後退した。


「糞が!」


「ザンギスさんと俺とでは、基礎的な魔素量の桁が違うんです」


「黙れ!

 フレア・アロー!」


光りの刃が、丹歌を襲う。

しかし、丹歌は、その矢を素手で掴んだ。


「流石、ファルシオンの最終選考まで残る実力は本物なんですね。

 フレア・アローって、普通は矢なのに貴方のは鋭利な刃になってる」


丹歌は、そう言いつつもその刃を握りつぶした。


「な……」


「貴方は、俺を怒らせた。

 相応の恐怖、味わってもらうよ!」


丹歌の目が、赤く染まる。

魔族の力を解放したのだ。


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