第18話 魔神降臨04
背中に漆黒の翼。
肌は赤茶色。
目は赤く炎のように染まる。
「お、お前は、もしかして赤眼の……」
「アクア・クリスタル!」
四人の丹歌が、静かに呪文を唱えると氷の刃はザンギスに全て命中した。
そして、ザンギスは氷の塊へと姿を変えた。
「攻撃魔法が使えない訳じゃないんだ。
ただ加減が出来ないだけなんだ……」
「……」
氷の塊となったザンギスは何も答えない。
「流石にこの姿になるとつかれるな……
五分も持たないや……」
丹歌は、自分の姿を元に戻しダークゲートを解除させた。
「玉藻、もういいよ」
玉藻は、ゆっくりと目を開けた。
「この氷の塊……
丹歌がやったのか?」
「反転魔法で、自滅してもらった」
「そうなのか?」
「うん。
さぁ、帰ろう。
水さんが、心配している」
「わかった……」
「どうしたの?」
ピクリとも動かない玉藻に対して丹歌は尋ねた。
「腰が抜けて体が動かない……」
「仕方がないなぁ……
じゃ、ウイングの魔法で……」
「おんぶがいい」
「え?」
「おんぶして欲しい」
「……わかったよ」
丹歌は、そう言うと玉藻をゆっくりと背負った。
「なぁ、丹歌……」
「うん?」
「助けに来てくれてありがとう」
「気にしなくていいよ」
「服がボロボロだ……」
「うん。
剣でいっぱい斬られたから……」
「怪我してないか?」
「うん。
大丈夫。
俺の皮膚は、ゴーレムより硬いから」
「そうか……」
「アストラル・ソードなら、斬れるんだろ?」
「うん。
でも、その前にウィル・ウィンドで、弾き飛ばしたよ」
「無茶な事を……」
「玉藻が無事なら俺は、どうなってもいいよ」
「そんな事は口にしない方がいい」
「え?どうして?」
「勘違いしたら、どうするんだ?」
「あははは……
こんな事で、玉藻を口説き落とせるとか思ってないよ」
玉藻は、静かに丹歌の背中に顔を埋めた。
「丹歌……」
「ん?」
「怖かった……」
玉藻は、丹歌の背中でガクガクと震えた。
「……」
「犯されるかと思った……」
「間に合ってよかった」
「うん……
ありがとう……
本当にありがとう」
「ん♪
それは、そうとさっきから胸が背中に当たってるよ」
「馬鹿!
そんな事言ってないでさっさと歩け!」
玉藻は、耳元で怒鳴った。
「耳元で怒鳴らないでそ」
「じゃ、息をかけてやる!
ふーだ。ふー!」
玉藻は、そう言うと丹歌の耳に息を吹きかけた。
その姿を温かい目で見る女が居た。
その女の名前は、ティコ。
「この場で私が出るのは、お邪魔虫だよね」
ティコは、そう呟くと静かにウイングの魔法で飛び去った。
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