第14話 合格パーティ

「さて……

 玉藻ちゃんのファルシオン試験合格を祝って乾杯!」


水がそう言うと小さなパーティが開かれる。


丹歌は静かにコーラを飲む。


「淋しくなるな」


那留は、小さく丹歌に尋ねた。


「ん?」


「玉藻さんは、高校中退になるな」


「どうして?」


「ファルシオンに就職になるんだろ?」


「ん??」


丹歌は首を傾げる。

するとライセンが答える。


「勘違いしている人多いけど。

 ファルシオンは手当は出るけれど職業じゃないわよ」


「え?」


那留は驚く。


「……ファルシオンは資格に近いよ。

 ファルシオン隊に入るのに必要な最低限の資格よ。

 2種類以上の武器を使えてギルドでの実務経験と推薦状があって、入団試験にも合格して。

 最終面接に合格してファルシオン。

 ちなみに筆記試験もあるから高校は卒業していたほうがいいわね。

 確かに中卒のファルシオンの専属隊員もいるにはいるけど……

 ファルシオンの隊長ですら、本業を持っているのでファルシオンは副業として考えたほうがいいわ」


「そうなのか?」


那留はファルシオンのことを知っているようで知らなかった。


「意外と知らない人もいるから気にしなくていいわ。

 現に父も鍛冶屋兼ファルシオンだし……

 それに何と言ってもファルシオンの強みは拠点を置かないことで襲撃に強いってこと!」


「そうなのか……」


「まぁ、月に2回。

 集まるけど、それ以外は基本的に自由!」


那留は思った。

習い事感覚なんだなって……


「あれ?」


丹歌はあることに気づく。


「どうしたんだい?」


那留は丹歌に尋ねる。


「……玉藻がいない」


「夜風にでも当たってるんじゃないか?」


それを聞いた丹歌は水の方に向かった。


「なかなかデリカシーのある発言だったけど。

 伝わらないわよ?」

 


「そうかな?」


「トイレを夜風で表現するの初めて聞いたもの」


「そっか……」


すると丹歌が戻ってくる。


「わからないってさ」


するとジルが丹歌に声を掛ける。


「玉藻のやつどうしたんだ?

 血相を変えて裏繁華街の方に向かって行ったが……」


「裏繁華街!!危なくない?」


ライセンが慌てる。


「いや、危ないから声をかけに来たんだ。

 ヤバいから俺らではどうにもできない」


そういったのはジルの友人ジャキだ。


「そういうことさね。

 早くあたいたちも裏繁華街に向かうわよ」


ジルの友人ベラもそういう。


そして6人は裏繁華街へと向かった。

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