第9話 つらいときこそ肉!
「おいおいおいおい!
これはこれは前回試験最下位の丹歌じゃねぇか」
そう言って巨漢のドワーフの男が丹歌に話しかける。
「あ、ウィズリーさん。
こんばんは」
「いや、ここは『あ、こんばんは』じゃないぞ?
俺みたいな悪人面の男に絡まれたら警戒心を強めなくちゃ……」
巨漢のドワーフがそう言うと丹歌が笑う。
「ウィズリーさんは優しいですから」
「う……
ってか、見慣れないヤツがいるかそいつは誰だ?」
「えっと久留島 那留です」
「那留か。
俺はウィズリー。
こう見えてファルシオンの突撃部隊隊長をやらせてもらっている」
「ファルシオン!!」
那留が驚く。
「なんだ?そんなに驚くか?」
「さっき六騎っていうファルシオンに会いました……」
「あー、そっか。
那留が試験会場で無傷で残った少年か……」
「え?」
「六騎から報告を受けてる。
次郎太の足を止めたそうじゃないか?
ヤツはテオスの幹部クラスだ。
凄いぞ」
「ありがとうございます」
「まぁ、ファルシオン入隊の件は災難としかいいようがない。
この間、規約が変わってしまったので知らずにくるもの多い。
そういう奴を丹歌みたいにバイトが報告しにむかっていたんだ」
「そうだったのですね」
「まぁ、なんだ。
そうがっかりするな。
お前、肉は食べれるか?」
「え?あ、はい」
それを聞いたウィズリーはニッコリと笑うと水に言った。
「コイツらにステーキ肉を!
代金は俺が払う!」
「え?」
丹歌と那留が驚く。
「まぁ。
若い奴らへのエールだ」
するとウィズリーの肩を叩くドワーフの女の子が現れる。
「お父さん」
「げ!ライセン!
お仕事はどうしたのかな?」
「今、ファルシオンの仕事をだな……」
「鍛冶屋のお仕事は?」
「えっと……」
ウィズリーが戸惑う。
「あのお姉さん誰?」
那留が丹歌に小さな声で尋ねる。
「私の名前はライセン。
鍛冶屋ウィズリーの娘」
「あ、久留島 那留といいます」
「貴方が噂の……
得意な武器は何?」
「僕は触れたものを自分の武器に変えることができるので……」
「何でも使えるってやつ?」
「ある程度は……」
「そっか。
うーん、那留くんならあの武器が使えるかも……」
「まさかライセン!」
ウィズリーが驚く。
「また今度会いましょう」
ライセンはウィズリーをひょいっと持ち上げるとそのまま店を出た。
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