第6話 働くって難しいね

「で、本当に来てくれちゃったわけ?」


那留は、丹歌の案内のもと。

アゴヒゲライオンという名前のギルドルームにやってきた。


「あ、はい」


那留は目の前にいるアゴヒゲライオンの副ギルドマスター宇野に淡々と頷いた。


「じゃ、ちょっと能力を確認させてもらうわね。

 しゃも爺、ちょっと鑑定してくんなまし」


宇野がそう言うと後ろに待機していた老人が那留の目を見る。


「彼は触れたものを自分の武器に変えることができる能力者じゃ」


「わお。

 ユニークな能力だね、ちょっと丹歌ちゃんと能力と被ってるけどいいんじゃない?」


宇野が小さく笑う。


「丹歌さんの能力?」


「僕の能力は、自分に触れようとした者全てを自分の武器にすることができるんだ」


「ホントだ。

 似てるね」


「とまぁ、私は合格だと思うけど広瀬さんはどう思う?」


宇野がそういうと広瀬が頷く。


「いいと思うよ?とりあえず君。

 仕事は?」


「え?」


「ギルドだけでは食べていけないよ?」


「え?」


那留は何も考えていなかった。

那留は中学を卒業後、バイトをしながら独自で修行し。

試験を受けたあとファルシオンに就職しようと思っていた。

それしか考えていなかった。

那留は丹歌の方を見る。


「ちなみに僕は学生をしつつ学生専門の賞金稼ぎをしてるよ?」


那留が答える。


「僕も賞金稼ぎをしようかな……」


「学校所属の賞金稼ぎだから、学生じゃないとそこに登録できないよ?」


「フリーランスの賞金稼ぎとかは?」


「うーん。

 この街ではないかな」


那留の頭が真っ白になった。

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