第5話 食べられちゃった
その場所には大勢の人間がいた。
みんなポツンと一点の方向を見ている。
「丹歌!なんでここに来ているんだ?」
ジルがその少年に尋ねる。
「んー、試験会場来たんだけど。
少し早めに来てしまったみたい」
「兄貴、試験の日は知ってる?」
六騎がその少年に尋ねる。
「1月4日」
少年が答える。
「じゃ、今日は?」
六騎の表情が冷たい。
「12月31日」
「……もういい。
で、ポチポチキングはどうした?」
「プーカが食べたよ。
ほら?」
少年がそう言って宝石を手のひらに広げた。
「いや、ほらじゃなくてな」
ジルがため息を吐く。
「ちなみに僕は試験に受けに来たんじゃないよ」
少年は自分のペースで話を進める。
「だったらどうしてここにいる?」
「僕は久留島 那留くんに用があってきたんだ」
「僕に……ですか?」
「うん。
僕はファルシオンのバイトに来ている
君に伝えなきゃいけないことがあってね」
「なんでしょう?」
丹歌は、小さく言った。
「僕同様、君に試験を受ける資格はないよ」
「え?」
「活性化したテオスの活動でファルシオンは引っ張りだこで忙しいんだ。
でも、猫の手はいらない。
なので、今期から入団試験の条件に色々加わったんだ。」
丹歌はそう言ってファルシオンの入団ポスターを魔法で召喚して広げた。
ポスターにはこう書かれていた。
君もファルシオンに入ろう!
条件はシンプル。
1.腕に自身があること。
2.2種類以上の武器を使いこなせること
(魔法は武器に含まれませんが魔法で作り出した武器は武器に含まれます)
3.入団試験に合格すること。
4.公式ギルドに加入し3年以上の実務経験と実績があること。
5.そしてギルドマスターの推薦状を貰うこと。
以上の条件をクリアし入団試験に合格すればファルシオンになれるよ!
「……知らなかった」
那留が大きく息を吐く。
「ただ君の実力と噂はファルシオンも期待しているんだ。
恐らく那留くんはギルドには未加入だよね?」
「はい」
「なのでギルドへの紹介状を持ってきたんだ」
「ギルドの紹介状?」
「うん、まぁ悪い話じゃないから一応視野に入れておいて」
那留はその紹介状を受け取った。
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