041
そもそも、冥王が居なくても冥界は機能している訳だし、俺の知ったこっちゃない感がバリバリでモチベ上がらんってのが先にある。
だが、このまま調子に乗せるのも癪だ。ルシフを殺そうと思っただけでも俺的には充分ぶち殺す対象だが、イマイチ動く気にならんのは、こいつの思惑に乗っかるのを良しとしていないからだろう。
そう思っていた時、ドアがこんこんとノックされた。
「なんだ?」
「お茶をお持ちしました。それと、フレーリヒ様がお越しになりました」
「うむ、入れ」
ガチャリと開けて失礼しますと辞儀をして。入室を促したと思ったら、恰幅のいいオッサンが偉そうに胸を張って入って来た。
俺をじろっと見て断りもなく椅子に座る。
「どうしたカール。何用だ?」
「用事など一つしかないだろう」
面白くなさそうに俺を見る。そんな顔されちゃあな…
「おいオッサン。気分悪そうに俺を見ているが、俺になんかあるのかよ?」
「……冥王様が寿命の半分を失ってまで喚んだと聞いては、面白く無かろうよ」
だから、俺を喚んだのはあいつであって、俺は此処に居る事自体不本意だっつーの。
そう口に出そうとしたところ――
「ああ、言いた事は解る。ただの俺の感情だ。気分を害しただろうが、気にするな」
そう言われてもな、気にしないがぶん殴っちゃおうかなって感情が芽生えたのは仕方ない事だろ?
「カイト様、お茶です」
パメラが俺にお茶を出してくれたが、それが気に入らないようで。
「おい貴様。この俺を差し置いてこの小僧に先に茶を出すなど、無礼にも程があるぞ!」
キレるオッサンだが、ここの主たるランプレヒトのオッサンにも茶出していないんだぞ。俺に対しての持て成しだからだ。
「しかしフレーリヒ様」
「喧しい!口答えするな!」
手を払ったオッサン。それがパメラに当たったのか、淹れようとしたお茶のカップ事吹っ飛ばされた。
カシャンとカップが床に落ちて割れた。ほぼ同時にオッサンも床に背中を押しつけられていた。勿論俺にだ。胸ぐらを掴んで倒しただけだが。
「ぐ!?」
「ぐ、じゃねーよオッサン。俺が気に入らないっつってもパメラに当たるのはお門違いだろうがよ?大体茶はランプレヒトのオッサンが俺を持て成す為にパメラに頼んだものだ。お前のはついでなんだよ。それで文句があるんだったら、今この場で塵にしてやるよ……」
ギリギリと服を握ると、襟が詰まって頸動脈が締まった。言いたくても言えない状況になった訳だが。
「反論無しか?じゃあ死ね」
「お待ちくださいカイト様!」
パメラが慌てて俺の腕を掴んだ。
「これはお芝居です!ですからお怒りを鎮めください!」
芝居?何が?どこから?
「メイドの言う通りですカイト様。カール……フレーリヒがどうしても確かめたい事があると言う事で、芝居に乗ったのです。どうかご容赦を」
ランプレヒトのオッサンが正座して頭を下げた。これ土下座だ。俺がマジぶち殺そうとしたのを察知したか?本気で焦っているようだが……
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