039
「ルシフの今の現状についてだが、話して貰えるか?」
やや緊張し、居住まいを正して頷いたオッサン。
「ルシフ様のご両親…先代冥王とその后様ですが、ルシフ様がご誕生なされた後に亡くなりました。后様は産後の肥立ちが悪く、誕生後7日程で、冥王様は元々身体が弱いお方だったので、10日程で後を追う様に」
「冥王にも病弱ってあるのか……」
なんか頑丈で怪しげな術に長けているイメージがあったので、意外とびっくりした。
「いえ、冥王の一族は代々短命なのです」
「そ、そうなの?」
「はい、血筋を重んじるばかりに、近親婚を重ねた結果、短命になったらしいのです」
近親婚!?そりゃまた際どいキーワードだな……
「え?じゃあルシフも短命なのか?」
近親婚と言うからには、先代は姉か妹と結ばれた訳だから……
「いえ、先代には兄弟が居りませんので、后様は御三家の一つから娶りました。よってルシフ様は短命の呪縛から逃れられたと先代が仰っていました」
そ、そうなのか。そりゃ良かった……んだよな?
「えっと、その御三家ってのは、代々冥王に仕えてきた家だよな?」
「はい、我がミューラー家の他にフレーリヒ家、ワーグナー家が存在します。先代の后様はワーグナー家の令嬢でした」
言った直後に苦い顔を拵える。
「なんかあったのか?」
「……先代が外から妻を娶ると仰った時に、年頃の娘はワーグナーにしか居りませんでした。なので結果ワーグナーから娶ったのですが、そうなれば冥王とワーグナー家は親戚、と言う事になります」
そうだろうな。それがなんだ?自分の家が親戚になりたかったとでも言うのか?
「冥王は代々短命、なので自分の命も長くは無いと悟っていたようで、自分に何かあったら子が成人するまでの間、親戚であるワーグナー家が冥王を代行するように、と、副王の座を与えました」
「……冥王の代行ならルシフの世話を当然しなきゃいけないだろうに、何でルシフは0区に住んでいる?何で身寄りがない?」
察したが、それでも聞かなきゃいけない事だ。俺のは所詮憶測なんだから。
「冥王代行就任と同時に、赤子だったルシフ様を殺そうとしたからです。事前に察知していたフレーリヒ家の者が幻術を仕掛けて
「……ふん、娘が死ねば代行が取れるからか?」
「その通りです。ワーグナーは冥王に、頂点になりたかった。この事はワーグナー家の先代やその后様の耳にも入り、咎めましたが、王となるのは自分なのだと反対する者全て殺しまして……ワーグナー家は遂にそ奴のみとなりました」
自分の一族皆殺しかよ。そのくらい簡単にやるような奴なら、ルシフを殺す事も躊躇しないだろうな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます