034

 だが、元々干渉可能だという根拠はなんだ?


「セレス、なんでそう思った?」


「カイトは奴隷の焼き印を消したじゃないですか。あれはブッティボディに刻まれるので治癒では治らないと言ったでしょう?」


 なんか呪いのようなもんだとかなんとか?だけど持ち主がくたばったら奴隷印はその効力を無くするんだろ?あんだけ派手にぶち殺し捲ったのに、生き残っているとはとても思えんが……


「その上の魂の元アートマボディからの干渉だったら焼き印も治せる。理由は解りませんが、既に干渉出来ていたと言う事ですよ」


 そうなの?よく解らんが、そんな簡単に干渉ってできるのか?


「ひょっとしたら、カイトの世界の人間は、魂の元アートマボディに無意識に干渉できるのかもしれませんね。まあ、可能性は極少ですが」


「その……魂の元アートマボディの干渉って、この世界の奴等は出来ないのか?」


「いえ、そうでもないです。やはり極少ですが、出来る者もいます。希少能力レアスキル解析アナライズがあります。能力の解析です。それが魂の元アートマボディから情報を引っ張る術なんです」


 そうなのか……俺って疑似的に解析が使えるんだっけ?分解、構築の関係で。


「カイトは解析アナライズより数段上のスキルを持ったようですね。能力を奪う、贈るとか、解析して更に付加価値を入れているんですから」


 全く以てちんぷんかんぷんだった。よく解らんが、こう言う事?


「分解、構築と略奪、贈呈は凄いって事か?」


「超超超超超超凄いって事ですよ。だって物質体マテリアルボディ精神体スピリチュアルボディも思いの儘って事ですから」


 若干興奮して言うセレスだが、当の本人からすれば「そうなのか」程度しか思わないんだが…もっと有難がった方がいいのか?


 まあ…大層な能力ですと言う事で、納得しようか。


「冥界の情報、何かあるか?具体的には冥王の事」


「う~ん……ぶっちゃければ死んだ後の事には興味が無いんですよ。ですから……」


 碌な情報は持ってねーって事か。


「ですが、冥王は地獄に出入り可能と聞いた覚えがあります。地獄とは超重力地帯。底に行けば行く程超重力になって行きます。大罪人は最下層、氷地獄コキュートスと呼ばれる氷の地獄に堕とされるんですが、かの魔王ですら脱出不可能な地獄です。冥王ならばそこにも自由に出入りできると」


 成程……ルシフの能力が重力操作だと言う事は、その地獄からも出入り可能だって事か……何となくだが0区に住まわせられた理由が解ったぞ。


「あ、もう一つ思い出しました」


「え?なんだ?」


「冥王には絶対防御を誇る盾があるそうです。隠兜アエギスと呼ばれる盾は難攻不落の代物だと」


 盾ねぇ……防御には必要な物なんだろうな。物質である以上俺の敵じゃ無いけども。


「まあ、解った。じゃあ行くか」


 部屋を出ようとしたら、袖を引っ張られて止められた。


「……糞アマに絶対に本気にならないでくださいよ?」


 不安そうな顔を向けてそう言うが、本気も何もだ。俺はただの奴隷だっつーの。それはお前にも当て嵌まるんだが言っておくけど。

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