033
そして別の部屋まで引っ張った。誰もいない部屋だ。
「なんですかカイト。二人っきりになって如何わしい事をしようって算段ですか?」
「違うからその期待に満ちた顔はやめろ。聞きたい事があるんだが」
途端に崩れた表情。は?違うの?面倒くせえって露骨に表情に出た。まあ、無視して訊ねる。
「未だかつて二人の主人を持った奴隷はいるのか?」
真顔で。真剣に聞いているんだと見せつけるように、詰め寄って。
「記憶にも記録にもないです。そもそも私の所有物なんですよカイトは」
「だから聞きたい事はそれじゃなく……」
「いえ。例えばですね、カイトがコンビニでガリガリ君を買ったとしますよね」
「コンビニとガリガリ君って所がもう俺の知識の引用だよな」
天界にコンビニやらガリガリ君やらがある筈が無いので決まりだろ。
「お金を支払ったガリガリ君はカイトの物ですよね」
「当たり前だろ。俺が買ったんだから」
「しかし、後ろに並んでいたルークスが、レジでお金を払ってカイトが買ったガリガリ君を自分の物にしたんです。それっておかしいでしょ?」
ルークスが後ろに並んでいる時点でおかしいが、確かに言いたい事は解った。
「ちゃんと代金を支払ったのが二人、その一つの商品の所有権が二人になっているって事だよな?」
「そう。おかしいと言うよりも有り得ない。死神が良く納得したな、と思いましたよ逆に」
言われてみれば……オッサンもラインハルトも事実として受け止めていたよな。
「左肩にプルトエルの紋章印が打たれたから納得せざるを得なかったって事なのかな…」
左肩を捲って見せる。
「……確かにプルトエルの紋章印みたいですね。無数の腕が伸びて見えますし」
炎だと思っていたが、腕なのかコレ?ユピテエルの紋章印は落雷だよな。
「確かにちゃんと刻まれていますね、ユピテエルの紋章印も。有り得ない事が起こったのは間違いないです。因みに対価は何ですか?」
「あー、能力の略奪と贈呈。
言ったら目を剥いたセレス。その反応じゃ、これもやっぱり大層な能力なんだろう。
「
腕を組んでうんうん頷く。何を納得したと言うんだ?おかしな事じゃねーだろうな?
「カイトは元々
元々持っていたって、自覚全く無いんだが……そもそも、俺の世界で普通の生活をしていれば、分解、構築も必要ないし、略奪、贈呈なんて使い道が無いしな……
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