027

 風雲急の如く、全員が全員わらわらと集まって来る。


「か、カイト様!?何故!?」


「何故も何も、あのまま帰って来ない方が良かったのか?」


 半分以上八つ当たりの回答で知らん奴(多分警備兵だろう)がビビって下がった。


「カイト!?マジでカイトだ!!お前明日帰って来る筈じゃなかったのかよ!?」


「おうジン。セレスはどこだ?つか、お前何やってんだ?」


「何って、城の警備だよ今の所は」


「今の所?」


「おう、なんか近々法律を定めてそれを取り締まる仕事を作るとかなんとか。それに抜擢されたんだが、まだそんな状況じゃねえからって、今の所は、な」


 こいつ警察になるのか?まさに犬のお巡りさんだ。


「か、カイト様!お早いお帰り、お待ちしておりました!」


「カイトさん!早いお帰りだったにゃー!」


 ロッティが傅いて、ルルがじゃれついて来る。ああ、そうだそうだ。ルルに頼み事ができたんだっけ。


「ルル、お前放浪するとか言っていたが、あれ止めにしてくんねーかな」


「え?に、にゃんで?」


 期待していた言葉を聞いた的な嬉しそうな顔だ。こいつ、留まってくれって言葉待っていたのかな?


「予定が狂っちまってな。俺の世界で仕事できなくなっちまったんだよ。だからこっちでやる事にしたんだが、如何せん俺一人じゃ厳しい。だからお前に助けて欲しいんだよ」


「わ、私がカイトさんの役に立てるのかにゃ!?」


「つうか現時点じゃお前以外考えられんのだ。だからうんと言ってくんねーか?勝手で悪いけど」


「ま、まあ…カイトさんの頼みならしょうがにゃいにゃ…不本意だけど、その仕事手伝うにゃ…だ、だけど政治や戦は無理だからにゃ?」


「そんなもんじゃねーよ。ある意味一番大事だが、ある意味は無くてもいいっつうか……」


 ラーメン屋は俺の生涯の仕事だから、俺的には一番大事な仕事だが、天界、地上には特に必要じゃないし。


「じ、じゃあ、まあ、しょうがにゃいから助けてあげるのにゃ……」


 なんか髪を指でくるくる回してそっぽを向きながら。ちょっと強引だったから気に入らねーのか?だが、これでこっちでもラーメン屋がやれるぞ。バイトも雇った事だしな!


「か、カイト様だ!」


「な、なんと!どうやって戻られたのか!?それに、後ろの者は…死神か?」


 要職に当てたオッサン達も登場。丁度いいとラインハルトを前に出す。


「サージ、こいつ、死神で、なんつったっけな…ミューラー家だったか?そこの長男坊で次期当主だとか。ウチといい感じになりたいらしい」


「ラインハルト・ミューラーと言う。カイト様の好意により同席を許された。これはつまらない物だ。皆さんで召し上がってくれ」


「は、これはご丁寧に……ミューラー家?」


 サージのオッサン、目を剥いて俺を見る。


「なんか問題でもあんのか?」


「……冥界のミューラー家と言えば、冥界御三家と呼ばれる冥王直属の死神だったような……」


「まさにその通り。知っているのならば話が早いというものだ」


 何?そんなにいいとこの家だったのか?確かにでっかい城だったしな…ユピテエル城よりも遥かにでっかかったもんな……


「か、カイト様、何故死神とご一緒に?」


「ああ、詳しい事はこいつに聞いてくれ。それともう一つ。俺って今冥界にいるんだが、お金持ってねーんだよ、テルテイ、少し都合してくれねーか?」


「は、め、冥界に……何やら大きなことが起きそうな予感ですが……ならば投資の名目で1万ゴルド……」


「カイト様が冥界に滞在なさる間、金に苦労はさせぬと言ったのだが、領主が物乞いのような真似ができるか、と叱られてな。なので申し訳ないが、ミューラー家からも来賓への祝儀と言う事で1万ゴルド用意しようと思う。それをカイト様に渡して貰えぬだろうか?」


「カイト様、2万ゴルドで足りますか?」


 二億円もどうすんだよ!!そんなにいらねーよ!無くなったらまた貰いに来るんだから!!

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