009

 自家式の火で自家式の水を沸かす。その間に下ごしらえだ。


 冷蔵庫は……あ、これってセレスのボロアパートにあった冷蔵庫と同じ型だ。


「開けてもいいか?」


 こっくり頷いたので開けた。意外と食材が入っている。


「鶏ガラは……無いな……」


「……それは焼いた後の骨でもいいのですか?」


「それだったらあるのか?」


「……はい。昨晩食べようと思ったチキンの腿の骨が」


 そう言って別の戸棚から鶏の脚を出す。


「まだ食べてないじゃねーかよ」


「……食べようと思いましたが、面倒になって食べませんでした」


「うん?晩飯自体食って無いってのか?」


 こっくり頷いた。面倒だから飯抜くって人結構多いが、例え面倒でもちゃんと食わなきゃいけないからな。健康面とかエネルギー面からでもそうだぞ。


 まあいい。お言葉に甘えてこれを使おう。


 丁寧に肉をそいで骨だけにして鍋に投入。野菜の芯やら硬い葉を礼寧に洗い、鍋に投入。


「ショウガがあって良かった。臭み抜くのにはこれが一番だ」


 なのでショウガの皮を剥いて投入。沸騰しないよう、弱火でじっくりと。ケガルの昆布とか欲しかったが、無いもんはしょうがない。


「小麦もあった。卵もあるからよかったな」


 セレスの時は殆ど無かった状態だったので、実に有り難い。


 小麦に卵を投入して捏ねる。本当は一晩寝かせたいが、時間がないのでボウルに布巾を乗せてギリギリまで寝かす。


「肉は……豚バラだなコレ」


 チャーシューを作りたかったが、やはり時間もないので豚の醤油炒めにしよう。


 フライパンを借りて俺のしょうゆダレと一緒に炒める。ニンニクもあったのでそれも少し加える。


「……いい香りがしてきました」


 鼻をひくひくさせながら。香りだけじゃねーぞ。たれもあるからギリギリ以上のラーメンにはなるぞ。


 さて、油だが……


「この鶏肉は使ってもいいのか?」


 中に入っていた鶏の塊を取り出すと、こっくり頷いた。


 まあ、使うのは皮だけだから。塊は使わねーから。と言う事で皮を剥いでいく。


 さっきの豚バラを取り出して、皮を炒め捲る。油をひかずにな。


 ニンニクを投入。そしてじっくりじっくり炒めると……


「鶏油の完成だ!」


 ノリでぱちぱち拍手するルシフだった。応えて鶏油をフライパンに入れた儘掲げた俺だったが。

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