008
まずは厨房に……うん?ここ?
「えっと、この洞窟?」
真っ暗で先が視えない洞窟仕立ての部屋に案内されたので訊ねた。
「……そうですが、何か不都合でも?」
「ああ、いや、大丈夫。多分……」
明かりを点ければなんとか……その明かりはどこだ?
「ルシフ、明かりはどこなんだ?」
「……厨房のかまどから炎が出ますので」
明かりをかまどの火に頼ってんのかよ?いろいろヤバいな……
「因みに、ここに来たのっていつ?」
「……記憶の限りでは、7歳当たりでしたか」
「お前そんな歳で自立してんの!?」
「……施設からいきなり追い出されまして、仕方なく。友達がここを探してくれたのでどうにか住めるようにしたのです」
冥界もいろいろありそうだな……ガキを追い出すってどうなんだ?そんな施設塵にしても構わんな。
「うん?友達?」
「……はい。彼女はいいとこの出ですが、なぜかいろいろ世話を焼いてくれまして。
ふーん……いいとこの出なら引き取ってやっても良かっただろうに。まあ、犬猫を拾うのと訳が違うから軽々しく言っちゃいけない事だけど。
まあいいや。厨房のボタンとかレバーが……これどうやって点けるの!?それらしきもの何もないんだけど!!セレスのアパートにだってコックはあったぞ!!
「これどうやって火を点けるの?」
「……
唱えたらかまどから火が出た!!
「おお!!精霊魔法って奴か!!」
これをインフラに組み込もうって考えてんだよな。精霊は至るところにいるから使い勝手がいいとかなんとか。
「……いえ、これは私の術です」
「そうなの!?」
「……はい。厨房に限らず、生活に使用する火や水等は大きく二つに分かれます。一つは旦那様が仰った聖霊による外部式。もう一つは自分の霊力で術を使う自家式。ここは冥界最下層なので、聖霊もあまり来てくれなくて自家式を選択せざるを得なかったのです」
そうなのか!!霊力が高いのならそれも全然ありだな!!だけど霊力が低い奴等ならやっぱり外部式の方がありがたいんだろう。じゃあやっぱり進めて行こうか、インフラ整備は外部式で。
「じゃあ水も?」
こっくり頷いた。そして蛇口に指を差す。
「……外部式ならば聖霊が水をここから供給するのですが、自家式は……
唱えたら蛇口から水が出た!!勿体無いから鍋……
「ルシフ!鍋!」
「……はい、旦那様」
いちいち旦那様はいらんと言いたいが、鍋は有り難い。なので丁寧に鍋を受け取って水を注いだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます