第6話 薬師の加護

あの光る巨人が言ったのと同じ加護が載っているようだ。

注意深く読み進める。


『薬師の加護

記録されているだけで、過去に35人の該当者がいる加護である。

能力は色々あるが、人によって程度の差が大きい。内容としては次の4つである。


1.作り方が分からない薬を頭に思い浮かべると、薬に必要な材料および調合方法が分かる。


2.薬の材料の場所が近くにあると、光って見える。


3.過去に調合した経験のある薬は、手元に材料があれば道具など無しに一瞬で調合が出来る。


4.疾病や毒に対する耐性を持っている。


記録では35人のうち、1を持っていたのは35人、2を持っていたのは20人、3を持っていたのは1人、4を持っていたのは10人である。

1と2を持つ者は多く、薬師として圧倒的な優位点を持つ。

3は一瞬で手元にある原材料が消え、薬品が現れるとの事である。

4は病にほぼかからず、通常の人の100倍の致死量の毒を飲んでも平気で、麻痺毒などへの抵抗も非常に強くなる加護である。


記録されている35人は、官民問わず薬師や軍医などで全員大成しており、非常に有用な加護である事は間違いない。』


内容を読む限り、かなり良い加護をもらった感じか。

4は麻酔なども効きにくくなりそうだから、大病を患ったらまずそうだな。

そもそも、この世界の外科技術がどんなものか分からないが。


一番偉そうで巨大な光の巨人が特別な加護と言っていたからには、この全てが使えたりすると助かる。



言語や世界の状況、加護その他もろもろ、今日得られた情報からすれば、今後の生活も何とかなるかもしれない。

少し希望が見えたな。



日が傾いてきたようだ、ちなみに日は地球の太陽とほぼ変わらない感じだ。

この世界も1日が24時間な事を考えると、恒星までの距離はほぼ同じということだろう。


本を片付けてから部屋を出て、階段を下りていく。


そういや、覚えるために言語系の本が1冊欲しいな、買うなり出来ないかコウキに相談してみよう。

そう思っていたら、コウキの方から声をかけられた。


「ずいぶん長い間籠っていたな、追い込まれてるのは分かるがあまり気を張るなよ。」


「ありがとうございます。ところで、今日見せてもらったような読み書きや計算を学べる本をどこかで買うことは出来ませんか?」


「ん?ああ、それなら今日使った本をお前にやるよ。王都で子供の学習向けに使われている本らしいんだが、ここのギルドで使うような奴もいなかったしな。持って行って良いぞ。」


「本当ですか!ありがとうございます!」


期せずして、言語の本を入手できた。今後も暇を見て文字を覚えていくようにしよう。



まだ日が完全に暮れるには早い時間なので、少し薬師の加護を試してみるか。

基本的に頭の中で考えるだけで良いみたいだしな。

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