第2話 どこで寝ようか

ここは地獄だ。

行く当てもなく野宿など当然。

地獄に我が家などないのだ…。


化け傘に

「どっかに寝床はないか?」と聞いたら

「甘えんな!オイラなんか地獄に来る前から寝床なんて使ったことねえよ!道の端で寝てろ!」となぜか怒られた。

 俺をあんなその辺に捨てられた傘と一緒にしないで欲しい。

 とはいえウダウダしてても仕方がないので寝床を確保しようか。

「なあ、どっかに地面が柔らかい場所はあるか?」

「おう!あるぞ。ついてこい!」

(森に落ち葉の溜まり場でもあれば良いな。)

「着いたぞ!ここだ。」

「…なんだこれ。」

「ぬいぐるみ達だ!」

「いや血とか着いてるけど…」

「地獄だからな!ぬいぐるみゾンビだ!」

(なんで地獄に和と洋の化け物が混在してんだよ…、いやそんなことより)

「こんな不気味な場所で寝たくねえよ!」

「なんだお前!まだ寝床探してたのか!ズルいぞ!!道で寝ろ道で!!」

(なんでコイツは自分以外が気持ち良く寝ようとすることがそんなに許せないのだろうか?)

とか思いながら言い争っていると、

「おい!うるさいぞ!気持ち良く死んでたのに起きちゃっただろ!!」

と急に声が聞こえたのでそちらを向くと、

ぬいぐるみゾンビだった。

(うわっ、また変なのに絡まれたくない!)と思ったので、

「ああ、ごめんな。じゃあな」と言ってその場をさろうとした。が、

「待て!抱っこしろ抱っこ!」

「はあ?何言ってんだお前?」

「お前らがうるさくして起きちゃったんだから抱っこして寝かしつけろ!」

「嫌だよ。血とかつくもん。」

と言って断ったがお構いなしに飛びかかって来たので思わず受け止めてしまった…。

「おい!ふざけんな!」と言った時にはもうぐっすり眠っていた。抱えていたぬいぐるみゾンビを起こさないようにそっと地面に置いてその場を去った。

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