第3話

 レオの部屋にて


「あーらちあかない! こんなん魔法でちょいってしようよ。ちょっとくらいバレないよ」

 マコトは爪やすりに変化させていた杖を宙でクルクルと回す。


「ねえシンの魔法で何か分からないの?」

 ミャーコは操っていた枕を筋トレするシンに投げつけた。


「マーキングはしてあるが発動すればあの規模だ、秒でバレるだろうな」

 部屋には似つかわしくないトレーニング器具をギシギシ揺らすシンの下には水溜まりができていた。

 シンの魔法は自分の落としたを起点に発動する。その特性上、シンは汗ッかきでよく走る。


「ダメ絶対。魔法は使用禁止。レクリエーションですらルールを守って終われないのなら卒業は不可能として一発退学。」

 レオはうとうとしている。

 キングサイズのベッドの真ん中で猫のように丸くなっている。

 ポン! と白い煙と共にレオの姿は変化する。


「うわ生ライオン!」


「レオ解けてるぞ」


「ああ悪い……ミャーコ頼む」


「これって魔法に含まれない?」


「確かにミャーコの言う通りかも。レオ的にというかルール作りに参加した生徒会長としてその点はどう判定する?」


「……む。でもこの姿では一般人を驚かせてしまう。仕方ないだろう」


「OK二言はないよね」

 ミャーコは杖に念じ、光を溜めた先をレオにポンと当てる。

 レオは一瞬で人の姿に変化した。


「ありがとう」

 レオは眠りについた。

 子供のようにスースーと寝息を立てている。




「よし、レオ寝たね」

 三人は目を合わせる。


「レオ怒るかな?」


「大丈夫、あれは魔法じゃないからセーフ」


「その為のリーダーというのもあるしな。ヒントのない今はレオの能力に頼る他ない」


 レオの能力。

 それは高い演算能力による未来視。

 発動条件は睡眠、情報、安定。

 そして稀有けうな能力持ちは今回の試練には必要不可欠としてリーダーに抜粋されている。

 使


「紙には『龍の泉が輝く時』と書いてあった」


「場所は日本の古都。都市開発されてビルは多いが残された自然も多い。周りは山で囲われ、川など水も豊富」


「新しい物の中にも伝統を重んじている節がある」


 レオがもぞもぞと寝返りを打つ。

 まだ情報が足りない。


「これは?」


「ねえこれって」

 マコトが持っていたのは一枚のポスター。

 着物を着た子どもが提灯のようなものを持っている。


灯籠とうろう?」


「祭りじゃないかな」


「もうすぐだね」


「これを上に飛ばすんだよ」


「何かありそうだ」

 レオは寝言でそうハッキリと告げた。

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