第2話
六班が泊まる宿は築二百年を超える日本家屋。昔の有名な武将と
コンクリートのビルの谷間にポツンと建つ古い一戸建て。木でできていて古いのに安心感のあるおばあちゃんの家というような印象だった。
「見た目に反して旅館になったのは最近らしいね」
「レオが
「ミャーコは『二百年』に何を想像したんだよ」
「本当にここ温泉宿だよな?」
「こっちこっち」
四人はぞろぞろと歩きだし、がたつく引き戸をくぐる。
そこには異世界かと思うような光景が広がっていた。
一言でいえば壁や天井など遮るものがなかった。吹き抜けの天井はどこまでも高く、広いロビーは突き当たりが分からないほどだ。
外見からは想像もできないほどの空間が広がっていた。
受付にはロボット、客や荷物はシャボン玉のようなものの中に入って宙を移動していた。
旅館というよりホテル。
しかも高級。ロイヤル。
『いらっしゃいませ、ご予約のお客様ですか?』
マネキンのようなホテルマンが声を掛けてくる。
「六班で予約したレオです」
レオはスムーズに受け答えをいている。
『承っております。四名様、お部屋の数はおいくつになさいますか?』
「二つ、二つ以上!」
ミャーコはすかさず答える。
「あ、あの! 龍に関する部屋はありますか」
マコトの問いにホテルマンはゆっくりと首を振り、申し訳なさそうな顔を作っている。
「温泉は龍に関係ありますか」
シンの問いにも同じ反応。
「この宿は龍に関係ありますか」
レオは受付のロボットに問いていたが、答えは同じようだ。
この宿は龍には関係ないという結果に終わった。
部屋はめちゃくちゃ広く、ベッドもふかふか。
部屋には露天風呂がついていて、大浴場はプール並みの広さはあった。
旅館探索している間、レオは最初に担当してくれたホテルマンに付きまとってアレコレ聞いていた。
ホクホクと満足そうなレオに反して、部屋に送り届けてきたホテルマンはゲッソリと可哀想なほど疲れ果てていた。
レオ調べで分かった事といえば玄関に使っている一戸建ては本当に築二百年あり、ここはその後ろに併設されたビルだという。そして空を飛んでいるのはガラス製の箱型エスカレーターだという。
全然ヒントにも使えなさそうな情報しかなかった。
ちなみに部屋の名前は普通に部屋番号を使用していた。『○○の間』のような場所はなかった。
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