第25話 お待ちかね、ステータスタイムです(ログなっが)

「さて、それじゃあいよいよステータスのチェックかな」


 宝箱の確認を終えた私は、いつ魔物がポップしても良いように、扉近くの壁にもたれて座る。


「では、ステータス!!」


 すると目の前に何時もの光景が浮かび上がる。


アユミ


Lv10


HP 100/100

MP 69/80


体力11

魔力7

筋力9

敏捷力11

器用さ10

知力10

直感8

隠蔽8

回復力5

幸運3


「おお、出た出た! HPとMPも追加されてる」


 こうやって落ち着いてステータス確認できるの良いなぁ。

 そしてステータス欄には魔法、スキル、アイテム、ログと言ったコマンドが表示されているのが分かる。


「まずは魔法かな」


『ファイアバレット:消費MP5』

『エアウォーク:消費MP4』

『クリエイトウォーター:消費MP2』


 成程、必要なMPも表示されるんだね。これはありがたい。


「でも威力を上げたりするとさらにMP消費が増えるんだよね」


 出来る女上司風女神様の話だと、戦闘中に力が入ったり慌ててると微妙な調整が出来なくてMP消費が多くなる危険があるんだっけ。

 ならここに書かれた消費MPを目安にして実戦では一発分少ないくらいに考えて戦った方が良さそうだね。


「スキルは……お?」


『火弾:炎の弾を射出する 7/10』


 なんか数字が書かれていた。


「んー、7月10日……な訳無いか。多分これ、スキルの使用回数かな? んで左は残り回数?」


 他のスキルも見てみると先ほど使った回数と同じだけ左側が減ってるから、多分そうなんだろうね。


「成る程、こっちの世界はMPじゃなくて回数制なんだね。回数なのが多いのか少ないのか……いやでも、他のスキルも回数制と考えると、合計すると結構な回数が使える事になるんじゃないかな? MPだと全部の魔法を一つのMPでシェアしないといけないし……あれ?」


 そこで私はある事実に気付く。


「これ、魔法とスキルで二倍使えるんじゃないの?」


 そうだ、MPを消費する魔法と、使用回数が決まってるスキル、女神様の話だと普通ならどちらかしか使えない筈。


「でも私は両方使えるから、実質MP二倍!?」


 わわわっ、それって滅茶苦茶有利じゃん!

 ブルーポイズンリザード相手でも魔法で完封出来ちゃうんじゃないの!?


 まさかの超絶パワーアップに私はビックリする。


「女神様が私が世界転移に耐えられるようになった途端強引に転移させたのも、これが理由だったって事……?」


 何か凄いことになってきた。

 ゲームなら裏技を見つけたみたいなもんだよ。いや、どっちかっていうとバグ技?


「落ち着け落ち着け。ともあれそうなると問題はスキルの使用回数だね。魔法はレベルが上がればどんどんMPが増えて使用回数が増えてくるけど、スキルの場合、回数固定なのかレベルが上がると回数が増えるのかどっちなんだろ? あ、でもこの世界ってレベルアップが無いって言ってたっけ」


 うむむ謎だ。

 もしくはスキルをどんどん覚えるから、回数固定でも全部のスキルの合計使用回数考えると大差ないって事になるのかな?


 私は全てのスキルを見比べて違いが無いか確認する。


『初級小剣術スキル:小剣を扱った行動が上手くなり、ダメージが少量上昇する』


「あれ? 初級小剣術スキルに使用回数が無い」


 すると一部のスキルにはそもそも回数が無いことに気付いた。

 他にもいくつかのスキルは回数表記が無く、それらの能力を見ると、その行為をする際に効果が上昇するというあいまいなものだった。


「んー、攻撃魔法とかは回数が消費されるけど、常時能力値がちょっとだけ上がるようなのは効果が低い代わりに回数制限が無いってことなのかな」


 と言う事は回数制限のあるスキルは一律同じ数字で、常時発動スキルは回数無しなのか。

 と思ったら、一つだけ数値が違っているものがあった。


『世界転移:ルドラアースとエーフェアースを行き来できる 1/1』


「あっ、世界転移のスキルだけ回数が1だ」

 

 他のスキルが10回か常時発動で回数がないのに対し、このスキルだけ使用回数が極端に少ない。

 

「やっぱ異世界にワープするスキルだし、特別ってことなのかな?」


 ふぅむ、こうなると特殊なスキルは使用回数が違うのかもしれない。

そうなるとスキルの使用回数が増えるのかどうかが気になるな。

固定なのか、それとも何かしらの条件で増えるのか、スキルはまだまだ謎が多いね。


「よーし、それじゃあ次はアイテム欄だ」


 考えても仕方がないので、今度はステータスに紐づけられた魔法の袋の在庫チェックをしてみる。


『初級ポーション:HPを少量回復する。質によって回復量に差がある:7個』

『弱毒消し:弱毒状態を治す:10個』

『ライフリーフの葉:素材:5個』

………


 アイテム欄には私がこれまで魔法の袋に入れた品が個数まで込みで表示されていた。


「おおー、これは便利だよ。これで探索者に素材を売る時にお目当ての品があったか思い出さなくて済むね」


 あ、いや、探索者に素材を売るのは暫く止めておいた方がいいか。

 何しろ探索者協会に目を付けられちゃったからね。


「そっちも何とかしないと、向こうの世界でお金を稼げなくなっちゃうから困り物だなぁ」


 向こうの世界に戻るまでに良いアイデアが思いつくと良いんだけど。


 そして気にったものが一つ。


『??の小瓶:1』


「あの小瓶、ステータスで見ても何か分からないんだね」


 名前が??の小瓶になってる。


「そう言えば最初の頃にレベルアップした時も名前の所が???になってたっけ。もしかして鑑定したりしないと名前は分からないのかな?」


 こういうところはゲームとは違うかぁー。残念。


「まぁこれだけ便利になったんだし、それ以上を求めるのは贅沢だよね」


 さて最後は女神様のメッセージのバックログだ。

 私はログボタンに触れる。すると……


『レベルアップしました。▼』


※※※※


Lv1→2


体力3→4

魔力3

筋力3→4

敏捷力3

器用さ3→4

知力3

直感3→4

隠蔽3

回復力3

幸運3



『おめでとう! 魔物を倒してレベルアップましたよ! 無事勝てて何よりです▼』

『話の続きになりますが、貴方は大神達の争いに巻き込まれた事で、粉々に砕けた魂に大神▼』


『レベルアップしました▼』


※※※※


Lv2→3


体力4→5

魔力3

筋力4→5

敏捷力4

器用さ3

知力3

直感3

隠蔽3

回復力3

幸運3



『達の力の欠片が付着した状態です。その力で、貴方は大神達に気付かれず、彼等の世界に▼』

『侵入する事が出来るのです。ですから私達は、貴方の魂を修復して事態を解決する為の使▼』

『徒とすることにしたのです。どうか全ての世界を救うために協力してください。▼』


『レベルアップしました▼』


※※※※


Lv3→4


体力5→6

魔力3

筋力5→6

敏捷力4→5

器用さ3→4

知力3→4

直感3→4

隠蔽3→4

回復力3

幸運3



『さて、それでは実際に貴方にしてもらいたい事を説明します』

『貴方の目的はダンジョンを攻略する事です。具体的にはダンジョン最下層にあるコアを▼』

『破壊してもらいたいのです。コアとは文字通りダンジョンの核で、これを破壊されるとダ▼』 

『ンジョンを攻略した証となります。攻略されたダンジョンは消滅し、大神達は次のダンジ▼』


『レベルアップしました▼』


※※※※


Lv4→5


体力6→7

魔力3

筋力6

敏捷力5→6

器用さ4→5

知力4

直感4

隠蔽4→5

回復力3

幸運3



『ョンを作る為に力を消耗することになります。これを繰り返す事で大神達の力を削ぐ計▼』

『画なのです。そして十分に大神達の力を削いだところで、我々神々が力を合わせて大神達▼』

『を封印します。そうする事で世界を平和に導くことが出来るのです。▼』

『その為に貴方の肉体は、人間の限界ギリギリまで性能を高めてあります。とはいえ、大神▼』

『達に悟られない様に、転生直後の性能は同年代の人間よりも多少は高い程度に抑えてあ▼』



『レベルアップしました▼』


 

アユミ Lv5→6 

体力7

魔力3

筋力6

敏捷力6→7

器用さ5→6

知力4

直感4

隠蔽5→6

回復力3

幸運3



『ります。ですからレベル上げを頑張ってくださいね▼』

『そうそう、レベル上げをする際は色々な訓練を積んでからの方が良いですよ▼』

『そちらの世界ではこれまで行った鍛錬や行動によってレベルアップの際に上昇する▼』

『能力値が変わります。例えば筋肉トレーニングを行えば筋力が、勉強をすれば知▼』

『力が上がります。また、実戦での試行錯誤も影響するので、同じ戦い方だけでなく▼』

『、色々な戦い方を考えましょうね。そうそう、幸運など、普通の方法では上がらない▼』



『レベルアップしました▼』


アユミ Lv6→7


体力7→8

魔力3→4

筋力6→7

敏捷力7→8

器用さ6→7

知力4→5

直感4→5

隠蔽6→7

回復力3

幸運3



『能力値もありますので注意してくださいね。そういった能力値は、特殊な条件を満た▼』

『たすと上昇します。ただ今の貴方はまだ条件を満たしていない為、教えたくても神々▼』

『のルールに抵触してしまうので教える事が出来ません。頑張って自力で条件を見つけ▼』

『てくださいね。応援していますよ▼』

『あっ、でもヒントね。アイテムとか、特別な場所とか※※※※※※※※※※※※※※▼』

『神々のルールに抵触しました。通信を強制切断します▼』



『レベルアップしました▼』


アユミ Lv7→8


体力8→9

魔力4→5

筋力7

敏捷力8→9

器用さ7→8

知力5→6

直感5→6

隠蔽7

回復力3

幸運3



『あー、ひどい目に遭いました。まったく、彼女ももう少し融通を聞かせてもいいのに▼』

『そんなだからいつまでも独し※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※▼』

『……ひどい目に遭いました▼』

『ええと、そう、本題、本題に戻ります。魔法に関して説明します。魔法とは術者の魔力▼』

『を消費し、超自然的な現象を扱う技術です。ただし呪文を唱えないと魔法は発動しませ▼』

『ん。呪文とは、神が人に扱う事を許した力を行使する為の鍵のようなものです。魔力と▼』

『言うエネルギーを消耗し、呪文と言う鍵で魔法を起動させるわけですね▼』

『そして魔法を使うと一定量の魔力を消耗します。使い過ぎると一時的に魔法が使えなく▼』



『レベルがあがりました』


アユミ Lv8→9


体力9→10

魔力5→6

筋力7→8

敏捷力9→10

器用さ8→9

知力6→7

直感6→7

隠蔽7→8

回復力3→4

幸運3



『なりますが、眠る事で魔力を回復できます。ただし心身に不具合があると、魔力の回復量▼』

『が著しく減るので気を付けて下さい。早寝早起き、困ったら人に相談、それでもだめなら▼』

『お賽銭を入れて神頼みですよ。もしかしたら良い事があ※※※※※※※※※※※※※※▼』

『神々のルールに抵触しました。現在お仕置き中です▼』

『……魔法は便利ですが、頼りすぎると接近戦になった際の対応がおろそかになりますの▼』

『で注意してください。貴方の場合、特定の技術に特化するのではなくまずは万能型を目指▼』

『すべきでしょう。なお、その世界の魔法は術者のイメージ次第である程度応用が効きます▼』

『魔力の消費量は増えますが、鍛錬次第では温風やお湯を出す事も出来るようになるでし▼』

『ょう。貴方の成長を期待しています』



『レベルアップしました▼』


アユミ Lv9→10


体力10→11

魔力6→7

筋力8→9

敏捷力10→11

器用さ9→10

知力7→10

直感7→8

隠蔽7→8

回復力4→5

幸運3



『おめでとう、遂にレベル10になりましたね。これでとうとう貴方の冒険も本番です。▼』

『貴方にはこれからもう一つの大神の世界に行ってもらいます。▼』

『唐突に思うかもしれないけど、これは必要なことなのです。▼』

『というのも、向こうの世界はスキルを取得する事で成長する世界なのよ。▼』

『本来人間は自分の所属する世界の法則に沿った成長しか出来ないのだけれど、二つの世界▼』

『を行き来できる貴方は別。貴方は唯一二つの世界の法則で成長できる特別な存在なのです▼』

『片方の世界で能力値を上げ、もう片方の世界でスキルを取得して強くなる▼』 

『その結果、貴方はいずれ世界最強の人間になれるのです。最強、ワクワクしますね!▼』

『だから二つの世界を行き来してガンガン強くなってくださいね。▼』

『それでは、もう一つの世界に貴方を送るわ。健闘を期待しています▼』


「いやログなっがっ!!」


 滅茶苦茶大量のログが一気に流れた。

 いやいやいやいや、これは流石に長すぎるよ。

 私は画面外に消えてしまったログをどうにか見れないかと画面に触れてみる。

 するとスクロールバーがある事に気付き、それを動かすとログが前後に動くと気づいた。


「んじゃ、読み飛ばしたログを読んでみようかな」


 成程なるほど……


「丁度図書館で読んだ部分ともう一人の女神様に教わったところだわ」


 ピンポイントに役に立ちませんでした。


「まぁ重要な情報を読み飛ばしてにっちもさっちもいかなくなるよりはマシだけどね」


 そしてバックログが読めるようになって、ますますその心配は無くなった訳だね。


「さて、これで必要な情報は一通りチェックし終えた感じかな。あとは……んー、お腹が空いたし、今日の探索はもう終わりにしようかな。んで、明日から本格的に行動しよう」


 私は魔法の袋から調理道具を取りだすと、食事の準備を始める。

 ぶっちゃけログ読んだりして疲れた。


「そして明日は地上に上がる階段を見つけよう!」


『初級調理スキルを取得しました』


 って、料理でもスキルが手に入るんかい!

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