第2章 第2の異世界編
第23話 女神様との邂逅(おっと新キャラですか?)
そこは真っ青な世界だった。
「ようこそ、私の領域へ」
その声とともに現れたのはとても知的な美人さんだった。
ああ、この雰囲気、いや気配には覚えがある。
多分だけどこの人も……
「そう、私も女神です。別の世界を管理しております」
なんというか今度の女神様はもの凄く出来る女上司って感じがする。もしくは女社長。
しかし、周り一面青色の空間といい、女神様が現れた事といい、これはもしかして……
「いいえ、貴方はまだ死んでおりません。貴女は今、もう一柱の大神の世界に移動している最中なのです」
「もう一柱の大神の世界?」
え? どういう事? なんで別の神様の世界に移動してる訳?
確か私はダンジョンでボスと戦ってた筈なのに……
「時間が無いので簡単に説明します。貴女はボスを倒した際、レベルが10に到達しました。それによって貴方は世界を移動する為の力に耐えらえるようになったのです」
「世界を移動するための力?」
なんか凄そうな力が出てきた。
「貴方を大神の世界に送った女神はこう言っていた筈です。二柱の大神の諍いを止める為、ダンジョンを攻略してほしいと」
うん、言われた。あー、それってもしかして、二つの神様の世界にそれぞれ行ってダンジョンをクリアしろって事?
「その通りです。そして貴方を送った女神、大地の女神が、貴方にわかりやすく言うと、ゲームのチュートリアルのようにオートで世界を移動する力を発動させたのです」
「それ、確認取ってからやってほしかったなぁ」
「それは仕方ありません。大神の世界で直接交信すれば、大神達に気づかれてしまいますから。ですから強制的に転移を行い、二つの世界の間にある空間の隙間に貴方を呼んで事情を説明する手筈だったのです」
なるほど、移動中でないとダメだったのか。
「えと、じゃあ大地の女神様にも会えるんですか?」
「いいえ、彼女は現在絶賛反省中です」
「反省中?」
え? あの人何かやらかしたの?
「貴方へのメッセージで神々のルールに抵触する情報を一部とはいえ教えてしまいました。それは本来許されることではありませんので」
あー、あのメッセージ強制終了事件か。
「ですので、私が代理として貴方に事情を説明するためにやってきたのです」
なんというかお疲れ様です。
「サービスとして、貴方が受けた並毒は解毒しておきました。説明の邪魔ですから」
「それはありがとうございます」
正直毒を治してもらえたのは普通にありがたい。
「では時間も差し迫っていますし、本題に入ります」
「あっ、はい」
「まず世界を移動する力ですが、これから行く世界に到着する事で世界転移のスキルを取得することが出来ます」
「世界転移のスキル!?」
え? スキルって何? 元居た世界だとそんなのなかったけど!?
「ええ、貴方が今までいた世界ルドラアースはレベルアップによる能力値上昇によって強くなる世界です。対してこれから向かう世界エーフェアースはスキルを取得することで強くなる世界なのです」
おおーっ! スキルで強くなる世界!? なんか凄くゲームっぽい! いやさっきまでいた世界もレベルアップで強くなるからゲームっぽかったけど、こっちはまた違う意味でゲームっぽい!
「エーフェアースでは自分の行った行為が習熟するとスキルになります。剣を何度も扱っていれば剣スキルを手に入れるといった具合に。そしてスキルを得ると、集中せずともその行為は自動的に成功するようになります」
なるほど、使うたびにスキルが強くなる世界なんだ!
「いえ、個々のスキルは強くなりません。強くなりたいなら、より強いスキルを新たに取得する必要があります。初級剣術、中級剣術といった具合ですね。細かい事は実際にスキルを取得して確認してください。それで大体は分かります」
出来る女上司女神様はサクサクと説明を進めてゆく。
「次にあなたのステータス機能のUIを修正しました」
「UI?」
なんか専門用語出てきた。
「ユーザーインターフェース、つまりステータス画面の事と思ってください。それを使いやすくしました。まずステータスと念じればステータスが面が表示されます。これはルドラアースの従来通りの仕様です」
「ええ!? ステータスって見れたんですか!?」
「ええ、ルドラアースもエーフェアースも自分のステータスを見ることが出来ますよ」
「なんでそんなゲームみたいな機能が……」
「大神達が自分の世界の人間を自慢するためにわかりやすく数値化したんですよ。トレーディングカードゲームの能力値やレアリティのようなものです。大した意味はありませんよ」
めっちゃ大した意味あるじゃん。まぁ神様的には大した事ないんだろうな。
「ただ大神の作ったUIは使う人間の事を考えていない低品質なものなので、配置などを色々と調整しておきました。これで誤操作が原因で泣きを見るような事はありませんよ」
なんか元のステータスでは割と悲しい事件が起きてたみたい。
「そして魔法の袋とステータスを連動させておきました。これで魔法の袋に入っている荷物をいちいちメモを取らずとも何が入っているのか確認できます」
「うわー! ありがとうございます!」
それは本当にありがたいよ。いちいち思い出すのも面倒だし、もしかしたら私自身忘れてる品もあったかもしれないもんね。
「そして、我々神々のメッセージをバックログで読み返すことが出来るようにしました」
「おおーっ! それは嬉しいです」
正直、なんかあって読み飛ばしたメッセージとかあったから、読み返せるようになったのは凄く嬉しい!
「そして貴方の生命力と魔力をHP、MPとして可視化できるようにしました」
「ますますゲームぽくなった!」
「ただしこちらはあくまで参考程度です。魔法の威力や効果を調整するとMPの消費量は上下するものです。更に命のかかった実戦では無意識に力が入るものです。すると本来想定していたよりも魔力消費が多くなり、結果魔法の使用回数がズレて、まだ撃てると思った時にはもう使えなくなっていた、などということもあります。決して数値を絶対視しないように」
「わ、分かりました」
「さて、名残惜しいですがそろそろ時間ですね。次の世界も大変でしょうが、二つの世界で得られる力を有効に使えば生き残ることが出来るでしょう」
「は、はい」
「それと」
出来る女上司風女神様が一拍間をおく。
「現地で得た知己は大切にしなさい。人は一人で出来る事には限界があります。自分にできないことを頼れる人を作るのです。つまり友達は大切にしなさい」
「分かりました!」
「では、貴方の健闘を期待しております」
出来る女上司風女神様がそう告げると、世界は青から白に染まりだす。
「あっ、そうだ! 女神様、私の戸籍の問題ってなんとかなりませんか!?」
世界が完全に白に染まる前に、私は戸籍が無い為に困っていることを告げる。
「それは私の管轄外です。大変でしょうが頑張ってください」
と、物凄くバッサリ切り捨てられた私は、問答無用に次の世界へと送られたのだった。
「そりゃないよぉーっ!!」
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