第10話 お婆ちゃん達のおさがりは多すぎる(これ新品では?)

「ふむふむ」


 前回のライフリーフの失敗を受けて、私は図書館での情報収集に力を入れる事にした。

具体的には魔物の情報と使える魔法の種類を増やし、ダンジョン攻略に役立つ情報とこの世界の事を学ぶことだ。


それで分かったのは、この世界、ダンジョンが現れる前は私がかつて住んでいた世界と大差ない普通の世界だったらしい。

それがダンジョンの出現によって、一気にファンタジーの世界になったのだとか。

特に大きな変化は、エネルギー事情だった。


 ダンジョンの魔物から産出される魔石は非常にエネルギー効率が良く、人体や環境への悪影響は皆無。

しかも使いきったら消滅するので、ごみ処理の心配もないという夢のエネルギー源だったのである。


 何しろこれまで使っていた電気は、使うのに結構なロスが発生していたのに対し、魔石はそのロスが劇的に減ったんだとか。

 この辺りは魔石のエネルギー抽出技術が日進月歩状態な為に、最終的にはどのくらいロスを減らせるのかまだ断言できない状態なんだって。


 そんな画期的なエネルギー源が見つかった事で、当時最高効率のエネルギー発電施設だった原子力発電は、今じゃ火力発電や風力発電と言った主要でない発電技術の一つに墜ちてしまったとの事。


 そんな訳で、今私が本を読んでいる図書館の灯りも、魔石のエネルギーで生み出した灯りなんだとか。

 だから探索者達は、探索が失敗に終わっても倒した魔物の魔石だけは絶対回収してくるんだって。

 弱い魔物しか倒せなくても、最低限のお金は稼げるんだから切実だよね。


「ふぅ、こんなものかな」


 ダンジョンの勉強はこんなもんで良いだろう。

 次は魔法の勉強。

 一つの科目だけやってても集中力が持たないからね。

 魔法の勉強は後で実践が出来るから、いい気分転換だよ。

 本を棚に戻した私が、魔法の本の棚に向かおうと身を翻すと……


 クゥ~~~


 大変愛らしい音波が私のお腹から発せられた。


「……」


 はい、お腹が空きました。

 時計を見ればもうお昼時だ。

 一度空腹を自覚すると、我慢が出来なくなってくる。


 ここは一旦ダンジョンに潜ってポップシープとライフリーフを狩ってご飯にするかなぁ。

 でもレベル上げを考えると、新しい魔法を覚えて魔法を使った事で能力値が増えるのか確認したい。

 そろそろレベル上がりそうだし。


「ねぇお嬢さん」


 その時だった。見知らぬお婆さんが話しかけてきたのだ。


「えっと、私の事ですか?」


 一体何の用だろう? もしかして知らない間に迷惑かけてた?


「いえね、貴方お腹空いてない?」


「へ?」


「図書館で食べようと思ってお弁当作って来たんだけれど、ちょっと作りすぎちゃったのよ。迷惑じゃなかったら貰ってくれないかしら?」


「え、えーと……」


 こ、こういう時どう答えれば良いの?

 わーいありがとうございますって言うのもなんか図々しいし。

 知り合いならともかく、全く知らない赤の他人だからなぁ。


「あら、あら、タカムラさんも? 実はウチもなのよー」


「うぇ!?」


 更に別のお婆さん達が集まって来る。


「私達も作りすぎちゃったのよ。友達におすそ分けしようと思ったら、皆して作り過ぎちゃったっていうもんだから、困ってたのよ」


「まぁ、皆さんも?」


 気が付けば、私は何人ものお婆さん達に囲まれていた。


「それじゃああっちで食べましょうか」


「え? え?」


 そのままお婆さん達に手を引っ張られ、なし崩しにお昼ご飯をご一緒することになったのだった。


 ◆


「「「「じー」」」」


 お婆さん達の視線が私に集まる。

 うー、めっちゃ食べづらい。

 けれど食べなければずっと見つめられ続けると観念した私は、フォークに突き刺した料理を口に入れた。


「モグモグ……」


「どうかしら?」


 タカムラと呼ばれたお婆さんがちょっと不安そうな顔で私に料理の味を聞いてくる。


「モグ……はい、美味しいです」


 うん、本当に美味しい。

 ちゃんとお出汁が利いてて味が染み込んでいる。

 ここ最近のただ焼くだけの料理とは大違いだ。

 あー、調味料の力って偉大だなぁ。


「「「「はぁ~~」」」」


 するとお婆さん達が安堵の溜息を漏らす。


「良かったわぁ。人の為の料理なんて久しぶりだったから」


「人の為?」


「あっ、何でもないの。気にしないで」


 お婆さんは慌てた様子で手をパタパタとさせながら気にするなと言ってくる。


「ほらほら、次は私の料理を食べな!」


 そして他のお婆さん達があれも食べろこれも食べろとさらにどんどん料理を盛って、山が積みあがってゆく。

 って、作り過ぎぃ! 作り過ぎたってレベルじゃないよコレ!!


「さ、さすがにこんなに沢山食べれませんよ」


「食べきれなかった分はお家で食べなさい。ちゃーんとタッパーを持ってきたから」


 何故にタッパーが?

 お婆さんの謎の用意の良さに首を傾げつつ、私は皿に盛られた料理を消費してゆく。


「……げふっ、ご馳走様でした」


「あら、もうおしまい? 遠慮してない?」


「し、してないです」


「女の子だからこんなものじゃない?」

 

「あー、うちは男の子ばかりだったからねぇ」


 寧ろ食べ過ぎた。休憩のあとで魔物と戦って運動しないと。


「はい、お茶をどうぞ」


「ありがとうございます」


 ふーっ、久しぶりに飲む味の付いた飲み物美味しい。

 量がもの凄かったけど、料理も美味しかったよ。


「本当に美味しかったです。ありがとうございます」


 私は忘れないうちにお婆さん達にお礼を告げる。

 本当に、ちゃんとした料理は久しぶりだ。


「いいのよぉ、本当に作り過ぎただけなんだから」


「そうそう、食べて貰って助かったわ」


 その後、私達は食後のお茶を楽しみながら世間話をする。

 といっても私はまだまだこの世界の事を知らないから、お婆さん達の話にそうなんですねと相槌を打ちながら、情報収集をさせてもらう感じだった。


 でもお婆さん達は年の功か、ちょくちょく私にも応えれそうな話題を振ってくれた。


「そういえばお嬢さんは探索者なのよね?」


「あ、はい。そうです」


 本当は違うけど、剣と鎧を抱えて図書館を歩き回ってるんだからそう答えておいた方がいいだろう。


「小さいのに凄いわねぇ」


「あはは……」


 本当は小さくないですよー! 中身はもっと大きな(年齢、いやそこまで大きくはない)大人の女ですよー! 本当ですよー!


「魔法は使えるの?」


「いくつかは」


「回復魔法は使えるかしら?」


「いえ、まだ習ってないです」


 おお、やっぱ回復魔法もあるんだね。

 でも魔法の本は色々あるから、どこに回復魔法が書かれてるかわかんないんだよね。

 それに初級の魔法をしっかり覚えてからでないと読んじゃダメって書かれてる本もあるし。


「回復魔法は使えないのね。じゃあ錬金術は使える?」


「錬金術?」


 え!? こんな科学文明が発達してそうな世界なのに錬金術なんてファンタジーなものあるの!?


「あら、錬金術を知らないの? それじゃあポーションの作り方も?」


「知らないです」


「まぁ」


「ポーションの作り方を知らないのかい」


 あ、あれ? 何この空気? もしかしてマズイ事を答えちゃった?

 ポーションを作れないとダンジョンに潜っちゃだめってルールがあったとか?


「丁度良かったわ。お嬢さん、ウチにある初級錬金術キット要らない?」


「初級錬金術キット?」


 なにその良い子の科学実験キットみたいなの?


「ウチの子も大きくなったからもう使わなくなったのだけど、まだまだ全然使えるから捨てるのももったいなくて。でも最近の若い子は最新のオシャレなのを欲しがるから、貰い手も無かったのよ。良かったら貰ってくれないかしら?」


 うむむ、それは正直そそられる。

 お金が無い私にとって、道具がただで手に入るなら、ちょっと古くても全然問題ない。

 それがダンジョン攻略に使えそうなら猶更だ。


 ただ、問題があるとすれば……


「でも私が貰っても錬金術が使えないですから……」


 そう、錬金術が使えないのなら、せっかくのお宝も荷物でしかない。


「それなら大丈夫よ。タカムラさんはプロの錬金調合師なのよ」


「錬金調合師?」


 なにそれカッコいい!


「元よ。今は退職してただのお婆ちゃんよ」


 タカムラさんは恥ずかしそうにパタパタと手を振って謙遜する。


「でも、お嬢さんがその気なら、私が簡単な調合を教えてあげるわ最低限、ポーションと毒消しの調合方法は知っておいた方が良いと思うから」


 マジで!? ポーションの作り方教えてもらえるの!?

 錬金術のアイテムを貰えて、その使い方まで教えてもらえるなんてありがたすぎるよ!

 正直こちらに都合が良すぎて不安になるくらいだよ!


 でも、このチャンスに乗りたいのも事実。

 ここで断ったら、次にポーションを作る手段を得るはいつになるか分からない。

 最悪二度と訪れないかもしれないんだから。


 今より深い階層に潜る事を考えるのなら、絶対にポーションは必須だ。

 元プロに教えてもらえるのなら、このチャンスを逃す手はない。


「あの、ご迷惑でなければ、私にポーションの作り方を教えてください」


「っ! ええ! 任せて!」


 私がお願いをすると、タカムラさんは凄く嬉しそうな笑みを浮かべる。


「じゃあ明日キットを持って来るから、お昼はポーション教室にしましょう」


「賛成!」


「それじゃあお弁当持ってこないとね!」


 気が付けば、他のお婆さん達まで参加する事になっていた。


「……まぁ、いっか」


 久しぶりのご飯と賑やかな他人との会話に、私は細かい事はどうでもいいかと思うのだった。



 翌日、軽く魔物との戦いを終えた私は、お婆さん達に貰ったおかずを食べ切ると、タッパーを洗って図書館にやってきた。


 すると図書館の入り口には、既にお婆さん達の姿があった。


「おはよう、お嬢さん」


「おはようございます皆さん」


「おはようさん。アンタは礼儀正しいねぇ、うちのバカ孫とは大違いだよ」


 さっそくお婆さん達に揉みくちゃにされてしまった。


「けど皆さん早いですね。ポーション教室はお昼からじゃなかったんですか?」


「アンタに渡したいものがあったからさ」


「私に?」


 何だろうと聞く間もなく、私はお婆さん達に連れられると、図書館の横にある公園に連れて行かれる。


そして公園の一角にあったテーブルのあるベンチに座ると、タカムラさんがテーブルに荷物を置く。


「これが約束してた初級錬金キットよ」


「ありがとうございます!」


 おお! これが初級錬金キット! これで私も錬金術が使える様に……


「あれ?」


 と、私はタカムラさんから受け取った箱に違和感を感じる。


「どうかしたかしら?」


「えっと、これ、新品ですよね?」


 そう、この初級錬金キット、明らかに新品だったのだ。


「な、何の事かしら!? ちゃーんと息子の使っていたものよ」


「……テープ、未開封ですよ?」


「え?」


 そう、箱の開封防止に張られていたテープが破れていなかったのだ。


「あっ」


 それを見せられたタカムラさんが、しまったと口を手で押さえる。


「あの、もしかして私の為にわざわざ新品を買って来てくれたんですか?」


「ち、違うのよ! 本当に息子のおさがりを上げようと思ったんだけど、持っていく前にチェックしたら、壊れてる部分が見つかっちゃったのよ。流石に壊れたものを渡すのも悪いから、えっと、セール! セールで安売りしてた型落ち品を代わりに買ってきたのよ!」


 言い訳下手くそか。

 どう見ても嘘をついています。

 壊れてるなら別に無理して買ってこなくてもこなくても良かったのに。


 さて、どうしたもんかな。初級錬金キットのお値段は分からないけれど、決して安い物じゃないだろう。

 未開封でレシートさえ残ってれば返品できるだろうから、ここは断った方が……


「ふんっ!!」


 と、そこにお婆さんの力を入れる声と共にビリビリと何かを破く音が公園に響き渡った。

 何事かと顔を向ければ、一緒にきていたお婆さんの一人が、初級錬金キットの箱をビリビリに破いて中身を取りだしていたのである。


「って、なにやってるんですかぁーっ!?」



 これじゃもう返品できないよ!?


「子供が小賢しい事考えてるんじゃないよ。いいから大人の気持ちは素直に受け取っておきな」


「っ!?」


 なんて強引な……

 でもこんなにしちゃったら、確かにもう受けとらない訳にはいかないか。


「タカムラさん、ありがとうございます」


「っ、いいえ、こちらこそ」


 なんだか変な受け答えになっちゃって、私達はお互いに苦笑を交わす。


「でも急にセガワさんが箱を破きだしてビックリしちゃったわ」


「アンタも気を遣い過ぎなんだよ。あんなのツベコベ言わずに受け取りなって押し付ければ良いんだよ。でないと相手に気を遣わせるだろ?」


 セガワと呼ばれたお婆さんは、とんでもない事を言い出す。

 うーん、口調もさることながら、やる事もパワフルなお婆ちゃんだなぁ。


「さて、それじゃあようやく私達からの贈り物も渡せるね」


「え?」


 そう言えばさっき自分達も渡す物があるとかって……


「待ってたわぁ! はいこれ!」


「私からはこれよ!」


と、お婆ちゃん達が堰を切ったかのようにテーブルの上に荷物を置いてゆく。


「私からはダンジョンで使えるボディーソープとシャンプーとリンスよ! ダンジョン内で泊りがけになる事を考えると、こういうのは必須でしょ!」


「私からは化粧品よ。お嬢ちゃんはまだ若いけど、若いうちから肌のケアは大事よ。特にダンジョン内だと指先が荒れる物に触っちゃうこともあるから、乳液もセットよ!」


 と、お婆ちゃん達は色々な物を次々に並べてくる。


「アンタ達、大事なものを忘れてるよ!」


 そこにセガワさんがグイっと割って入って来ると、バサリと何かを広げる。


「着替えの服とバスタオルとタオルだよ!」


 めっちゃ嵩張るもの来たぁー!

 流石にこれはもう多すぎる!

 こんな沢山貰っても、ダンジョンにもっていったら、すぐ清浄化作用で消えちゃうよ。

「あ、あの、あんまり沢山いただいても持って帰れないので……私、このリュックと袋しか持ち運びできるものもってないので」


 私はこれだけしか運べないからと、リュックとダンジョンで拾った革袋を見せる。

 全部を断る事は無理だけど、手持ちの入れ物を見せれば、これだけしかもって帰れないと諦めてくれるだろう。


「……これ、もしかして」


 と、そこでお婆さんの一人が私の革袋を手に取る。


「それがどうしましたか?」


「ちょっとこれに物を入れて良いかしら?」


「え? ええ、どうぞ」


 と言っても見た目通り大した量ははいらないんだけどね。

 お婆さんは小さいボディソープの容器を入れる。

 うん、まぁそれが限界かな。

 するとお婆さんは袋の口から中を見て、今度はシャンプーの容器を袋に入れる。

 いやいや、流石にそれは入らな……え?


 しかし、入らないと思ったシャンプーの容器は、スルスルと革袋の中に入っていった。


「ええ!? 何で!?」


 更にリンス、乳液、化粧水などがどんどん入ってゆく。


「やっぱり、これ魔法の袋だわ」


「魔法の袋?」


 名前的に、何か魔法の効果がある感じ?


「オタケちゃん、そりゃ本当かい? って、まぁ目の前で入ったんだから疑いの余地も無いか」


 セガワさんが何故か固い表情でオタケと呼んだお婆さんに尋ねる。


「間違いないね。こりゃ正真正銘、魔法の袋だよ」


「「「「っ!」」」」


 オタケさんが断言すると、お婆さん達の顔が厳しくなる。


「あの、魔法の袋ってなんですか?」


 私が訪ねると、オタケさんはニッコリと笑みを浮かべながら革袋の事を教えてくれた。


「魔法の袋ってのはね、この袋のように見た目以上に荷物の入る袋の事さ。沢山の荷物が入る上に、重さも感じないから、探索者なら誰でも欲しがる品なんだよ。けど魔法の袋はダンジョンの深い階層で強力な魔物に守られた宝箱からしか手に入らないんだ。だからとっても貴重なんだよ」


「え? そうなんですか!?」


 でも私は一層の隠し部屋で見つけたんだけど。っていうか中身を抜かれて捨てられた入れ物だと思ってたんですけど!?

 もしかして、隠し部屋だったから誰も気付かなかった?

 気付いた人が居たとしても、中身が空っぽだったから、私と同じでもう中身は持ってかれた後だと思って放置したとか?


「……」


 まさかの外れ箱が、とんでもない大当たりだったと気づき、ブワリと嫌な汗が出てくる。

 もしこの袋を宝箱に戻してたら、私はこれが魔法の袋だと気付くことなく下層に向かっていただろう。

 とんでもないお宝を見落として進んでいたかと思うと、肝が冷える気分だよ。


「これはね、本当に貴重なんだ。でも、だからこそ厄介事の種にもなるんだよ」


 オタケさんの言葉に私は我に返る。


「魔法の袋はその効果から、その能力を解析したい企業も欲しがっているから、持っていると知られるとしつこく譲ってくれと付きまとってくるようになるよ。でも何より怖いのは犯罪者だね。魔法の袋があれば大きな盗品を盗んでもバレにくいし、警察に検問を受けても荷物を隠したまま持ち去る事が出来る。だから本当に危ないんだ」


うわぁ、企業や犯罪者から狙われる厄介事のタネなのでは!?

 あとハッキリ言わなかったけど、企業によっては違法な取引の為に使おうと強引に狙ってくるかもしれないって事だよねコレ!


「それに質の悪い探索者に盗まれる心配もあるね。最悪、仲間同士で所有権や金目当てで奪い合ってパーティ解散、や暴力沙汰に及ぶこともあるんだ」


 地獄絵図ぅーっ!! 持ってるだけでヤバイアイテムじゃん!

 ゲームじゃお約束だけど、現実だと犯罪者御用達の人間関係破壊ツールになっちゃうーっ!


「お嬢さん」


 と、タカムラさんが私の肩をぐっ、と掴んでいった。

 ま、まさかこの流れ、譲ってくれとか言われちゃう!?


「これの事は、誰にも言っちゃ駄目だからね」


「っ!? え? あ、はい……」


 幸い、おばさん達は自分達に譲ってほしいと言ってくることは無かった。


「貴方は小さいからこれの危険性が良く分からないかもしれないけれど、これを持っていると知られたら本当に危ないから、誰にも内緒にするのよ。友達にも言っちゃだめだからね」


「は、はい」


「よく使う荷物はリュックの方に入れておきなさい。たまに使うものや大きい物だけ魔法の袋に入れて、使う時は人が居ないかよーく周りを見て使うのよ」


「分かりました」


 お婆さん達は何度も私に気を付けるようにと言い聞かせてくる。

 こうして、私の人に言えない秘密がまた一つ増えたのだった……


「まぁでも、沢山入るようになったのならそれに越したことはないさね。ほら入れな入れな」


「全部持って帰れそうで良かったわぁー」


 って、切り替え早すぎませんお婆ちゃん達!?

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