第13話 だって〜タッくんとタメ歳だもん
そこからが太郎を含む第二営業部の怒涛の快進撃始まった!
勿論通常業務をこなしつつ…
各方面の協力やアドバイスを経ての綿密な打ち合わせによる修正…
各車メーカーや今回厳選され決定したイベント会社、モーターショー側のイベント会社との協議を重ねた上での情報の共有とすり合わせ…
それに伴う各関連業者との綿密な打ち合わせ…
ポスターや告知書面のコンテや作成…
SNSやメディア等で使用するCMのコンテや作成等…
完成に時間が掛かりそうなもので決定事項は直ぐさま手分けして取り掛かった。
特にポスターが出来た途端、太郎は直に【HANAKO】に持って行き店頭に貼ってもらうと、来店者や問い合わせでの反応を逐次華恋らに確認した。
そしてモーターショーの開催が後約一ヶ月と迫って来た頃の事…
「課長、何とかここまでは目立ったトラブルも無く順調のようですね」
時計のデジタルが間もなく十九時半を表示しようとした時、一人残って残務整理をしていた太郎の下へ不意に鬼無里が顔を出しにきた。
「あ、本部長お疲れ様です♪ハイ、早田主任が皆をまとめてくれてますから、お陰様で順調に準備が進められています」
太郎は立ち上がり鬼無里に挨拶をすると、簡単ではあるが現状の進行状況をそう報告した。
「おやおや(笑)そういえば…早田主任が《山田課長が事前に色んな事を根回してくれているから楽に動けて助かっています》って笑って言ってたけど…」
「まさか(笑)たいした事はやってませんよ♪」
太郎はそう言って誤魔化すが、実際早田の言う事は事実だった。
ただ彼からすれば、自分が気付きやれる事をあたりまえの様にやっているだけで、別に特別な事をしている訳では無いと思っていた。
だがそのリアクションこそが太郎が鬼無里から自分の後釜として課長に抜擢され、この第二営業部を任されているもう一つの理由でもあった。
だからなのか…
「そうですか…まぁ〜そういう事にしておきましょうかね♪所で課長、ちゃんと休んでいますか?」
鬼無里はあまり仕事の追求せず、ただ無理をしていないかを心配していた。
「ハイ、休んではいますけど…どうかされました?」
すると鬼無里は…
「いえね、先程【HANAKO】から《まだ課長が会社に残っているなら帰りにお店の方に寄って欲しい》と連絡があったものですから」
何故か【HANAKO】から直接太郎にでは無く、彼の方に連絡があったらしく、それをわざわざ伝えに来たらしい。
「本部長の方にですか!何かあったんですかね…?」
太郎が驚くのも無理はない。
今までこんな事は一度も無かったし、こうなるに至っる憶測が何一つ思い当たらないからだ。
「解りませんが…良かったら様子を見て来てもらえます?」
「ハイ、丁度帰ろうと思っていましたから今から寄ってみます」
上司の頼みに太郎は直にそう即答した。
「ヨロシクお願いしますね♪それじゃ…」
「ハイ、お先に失礼させてもらいます」
鬼無里はそう告げると笑顔でその場を後にし、太郎はその後ろ姿に向かって頭を下げた。
…ただ…
太郎に背を向けた鬼無里が何故か《ニヤリ》としたのは気のせいだろうか…?
そして…
太郎が【HANAKO】に顔を出したのは二十時を数分過ぎた頃だった。
店の閉店時間が二十時だったからか、当然ドアには【Close】のプレートがぶら下がっている。
しかしSTAFFルームの灯りは着いているし、人の気配もしていた。
ただ何故か不用心にも自動ドアには鍵が掛かっていなかった。
「失礼します…猫丸産業の山田ですけど…」
太郎は警戒しながらゆっくりと自動ドアを手で開け店内に足を踏み入れた。
その時…
「あ〜山田課長、中に入ったらドアに鍵を掛けてこっちに来てもらえるかしら?」
STAFFルームの方から冴子のそんな指示が聞こえてきた。
「解りました、失礼します」
太郎は言われるまま自動ドアを手動で閉め、鍵を掛けるとSTAFFルームの扉を開いた。
するとそこには!
「は〜〜いタッくん♪どう?似合うっしょ〜♡」
「コラ華恋!もう少し慎みなさい!」
「店長…説得力ないってば」
「確かにそうだよな…」
「何だかんだ言ってもその格好じゃ〜さ〜」
各自…際どいセクシーなコスプレ衣装にチェンジした冴子、華恋、凛夜、茅野、麻音の五人が立っていたのだった!
しかも華恋に至っては明らかに挑発的なポーズをキメている(汗)
「そ…それって…」
「ウフン♪タッく〜ん♡ソソられた?」
この手の挑発に免疫がないのか、動揺を隠しきれない太郎を尚も挑発する華恋…
華恋もそうだが、改めてここにいる女性全員がモデルのようなスタイルだと実感させられる。
しかし…
「
「へ?そこ??」
おいおい…
動揺しているのは挑発にではなくてそのキャラに?
尚も太郎は女性陣のコスプレを見渡しながら…
「冴子さんはアーシュで凛夜さんはミルキー、茅野さんはイヴに麻音さんはウィル…ですよ…ね」
「貴方…よく知ってるわね(汗)」
総てを当てて見せた彼を見てちょっとドン引き気味の冴子は…
『この男…枯れオジ童貞臭だけじゃなくて…ヲタク臭まで纏ってるやん(汗)』
そんなセリフを心の中で呟いていた。
「タッくん正解〜よく知ってるじゃん♪」
「ノ…ノベルやコミック…揃えて…ます…から…そ…その…最近ハマってて…そ、それよりも華恋さん…ちょ…近い…です」
するといきなり太郎の前に立った華恋は、彼の身長に合せて前かがみになると衣装の隙間から見え隠れする自慢の胸を、妙に強調しながら話掛けてきた。
※ちなみにブラをしていないのは確認できる(汗)
「コラ華恋!彼、目のやり場に困っているから止めなさい」
すると母親である冴子がそんな華恋の挑発を咎めた。
…そう、咎めたんだけどね…
「ママの方が困る格好してるし〜」
そんな華恋の反論に凛夜達他のメンバーが大きく頷いていた。
何故なら…
その超巨乳を申し訳ない程度の布面積なビキニで隠し、下は横に大胆に割れたスリットのパレオに赤いハイヒールのみだからだ。
「いくら暑いからってそれは流石に…ね〜」
「店長フェロモンだだ漏れだし(笑)」
「何気に一番気合入ってると思う♪」
「ママ…タッくんは譲らないモン…」
「フン、出るからにはその辺の雌猫共に負けるわけいかないじゃない!」
女としてのプライドと威信かもしれない。
照れながらそう言い腕を前に組みソッポ向く冴子。
「「「「いやいや誰も勝てないって(汗)」」」」
どうやら話の流れからして、彼女も今度のモーターショーに参加するのだろう…
華恋達皆からそんなツッコミを入れられていた(笑)
確かに実年齢が太郎と同じで出産経験があるとは思えないほど美人である。
しかし…
「あ、あの〜冴子さん…」
「何よ!」
「申し訳ないのですが…規約的にOUTです」
「え?なんでよ!ちゃんと
※ごめんなさい、別の小説の宣伝入ってます…(汗)
所で何気に詳しくないだろうか…
しかもなかなかマニアックなシチュエーションでのコスプレをチョイスしている(汗)
「き、規約の中に…《か、家族連れの方もいら…しゃいますから…ビキニのみでのコスプレは禁止》…となって…ますので」
冴子は慌てて規約事項を読み直した。
確かに書面にはそう書かれている。
それにそもそも彼女のコスプレは、色んな所が見え隠れしなさ過ぎてかなりヤバイ。
太郎は目のやり場に困りながら顔を真赤にして冴子に謝った。
いや、別に彼が謝るのはお門違いなのだが、おそらくそうするのが彼女にとって最善の策だと判断したのだろう。
それでもなかなか納得出来ない冴子だったが、皆の説得で渋々別のコスプレにする事に決まった。
ちなみに当日彼女のコスプレは喫茶店で働いている時のアーシュのエプロン姿へと大幅に変更になったのだった(笑)
そしてその後…
「ねぇねぇタッく〜ん♪どう?そそられる♡」
母親に対するライバル心かどうか解らないが、やたらと太郎との距離感が近い華恋…
それをかい潜り、何とかその場を収めて退避したそんな太郎に対して…
「!!」
一時間後、おそらく自宅で撮影したであろう…
凄くモザイクが必要な画像を彼の携帯にメールで送信していた(汗)
勿論予想通り帰宅したばかりの太郎は…
『本部長は冴子店長の暴走を止めて欲しくて自分を店まで向かわせたのだろうな〜』と、考えながら玄関先で不意にそのメールを開いたものだから…
結果、辺りを血の海にして暫く気を失っていたのであった(笑)
まぁ〜
帰りのバスの中じゃなくて本当に良かったと思う。
…続く…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます