第32話 裁判進行
どうしてこうなった。
「この神明裁判においては被告人による抗議は一切考慮しない! 只、7大神が一角、審判と裁きの神、プラバジャスティアの鏡による結果のみが真実!」
俺の目の前でなんか豪華な服を着たおっさんが喚いている。
すげえゴージャスな空間、一回だけ来た事ある聖堂だ。
なんか金かけてそうな女神像が……7体、それに首のない像が1体。
ほへ~海外っぽい。
「ここに集いし教会の同志よ! 昨日起きた悲劇を今、語ろう!! 神に遣われし転生勇者! その誇り高くめでたい旅立ちの日に起きた邪悪なる者の企みを! そしてその企みを見破った教会の正義を!」
う~ん、どうしよ。
朝、起きた瞬間、気付いたらもう捕まってたんだよな。
腕も足も変な錠みたいなので縛られて動かせねえ。
こういうパターンだとアレだろ、どうせ呪力も……。
「見て、あの家無し……なんてみすぼらしい姿なの」
「家無しのまとめ役だったグレロッドを殺して、その足で畑を耕してたりしてたらしいぞ」
「悪魔憑きなんじゃないか? まともじゃない、あの目つき……」
あ、呪力使えるな。なら、
ーー殺すか?
「「「「「ッッ!!??」」」」
「っ!? お、おい! 家無しには魔封じの錠を嵌めてあるんだな?」
「はい、もちろんです。G級のゴミとは言えギフテッドです。万が一があってはなりませんから……」
「な、ならいい、気のせいか……」
いやいや待て待て。
流石に全員皆殺しは判断が早すぎる。
見知った顔も何人かいるしな。
「「「「「………………」」」」」
ちょうど俺を見下ろすような観客席っぽい所に集められてる連中。
クラスメイト連中だ。
おいおい、皆ファンタジーファッションを決め込んで。
俺、いまだにボロ布の服なの恥ずかしいじゃん。
「おい……本当にあいつが俺たちを?」
「スノウ様を洗脳したのもあいつらしいぞ」
「俺達を死の女神に捧げようとしてたって……」
「おい、あの家無し、昔……達が何度も……」
「やっぱり、おかしい奴だったんだよ」
「クソ、ふざけた奴だぜ、だから俺はさっさと……」
なんか凄え悪口言われてるな。
あれ、これある意味悪役っぽいか?
「静粛に。これより語るはかのものの犯した罪。まず一つ、被告人カスタニタキヒトは、昨日、ここ聖堂に魔法学院への入学の前の壮行式に出席していた転移勇者を何らかの方法で誘拐、拉致した」
『その通りである』
紫色の鏡。
それに映った人影が喋る。
「次、カスタニタキヒトはその後、グレロッド・マジャームの農園に何らかの方法で魔法結界を構築、結界内でグレロッド・マジャームを殺害、間違いないな」
『その通りである』
なんだ、これ……。
何、何を見せられてんだ?
ま、まさかこのクソみたいなおっさんとヘンテコな鏡のクソ会話で、裁判進行してんの?
いや、流石に倫理観の終わってるカーストクソ異世界でもそんな事はーー。
『よって、死刑である』
クソ裁判がよ。
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