　ーーあなたは、PCの画面を見つめている。

　ーーあなたは、ケルト系の音楽の流れるその動画をじっと、見つめている。

　ーーあなたは、ゆっくりマウスを操り、再生ボタンを押した。

　◇◇◇◇

『皆さま、初めまして。このPVではホームアウェイソフトから2028年8月発売予定の新作ゲーム、"ライフ・フィールド"の世界の紹介を行なっていきます。神秘と謎、そして数々のエキサイティングなイベントや出会いに満ち溢れたこの世界の魅力を10分間の間是非お楽しみ下さい』

『プロローグ・"ライフ・フィールド"とは？』

『ライフ・フィールドは2028年夏、ホームソフトウェア社より発売予定のサードパーソンアクションRPG生活・恋愛・経営シュミレーションダークファンタジーオープンワールドゲームです』

　ーーあなたは広大な緑広がる平原の映像をみている。

風がそよぐたびに草花が揺れ、雲が砕け流れていく。まるで、本物の世界に見える。

『この高度に設計された世界であなたは自由に冒険と人生を楽しむことが出来ます。現実とは違う不思議な異なる世界の全てをあなたは楽しみつくすことが出来ます。この世界では現実の世界と同じように時間が流れ、四季がめぐり、その世界に生きる人々がそれぞれの信条や信念、そして欲望に基づいて生きています』

　――あなたは次々に移り変わるゲームの景色を眺めている。

レンガ造りの街、その街で商売をする人々、駆けまわって遊ぶ子供。

酒場で掲示板から紙を剥ぎ取り、何やら話し合っている剣や盾、杖を持った人。

霧のかかる山嶺。

それを見下ろしながら悠然と飛ぶワイバーン。

暗い地下墓地をさまよう骸骨、泉で舞い遊ぶ妖精。

砂漠を渡る行商、サイのような生き物に荷物を載せて。

　――あなたはしばらくの間、異なる世界の映像に見とれる。

『あなたはこの世界で自由に生きることが出来ます。未知と危険の満ちるこの世界を味わい尽くす冒険者になることも、魔法学校でこの世界の真理を解き明かすことも魔法使いとなることも、世界の闇の中で人を殺して生きる暗殺者となって生きることも、金を稼ぎ、人を雇い、さらに自分の商売を広げ商人となることも、もちろん毎日をただゆっくりと過ごす市民となることも――』

『全てが自由です。この世界はあなただけの人生の居場所となることでしょう』

『そして同時に、あなたは己の運命と向き合うこと、向き合わないことも全て自由です。我々。ホームアウェイソフトの願いはただ一つ。あなたがこのライフ・フィールドの世界を存分に楽しんで欲しいだけなのです』

　――あなたはキャラクターが次々といろいろな姿になり世界を駆けまわっている姿を見つめている。

鎧を着こみ、剣と盾を備えて、獅子の頭と蝙蝠の羽、蛇の尻尾を備えたモンスターと戦っているシーン。

黒いローブに大きなとんがり帽子をかぶり、うす暗い魔法学校の実験室で、奇妙な液体と植物を煎じているシーン。

フード付きの外套を羽織り、路地裏で男の喉笛を短剣で掻き切り、ゴミ捨て箱に放り投げているシーン。

高級そうな装飾品のついた服をまとい、金のコインをうっとりと眺めているシーン。そして、最後は普通の服をまとい、家の庭で薪割りをして、子供たちと一緒にそれを暖炉に入れているシーン。

　どれも美麗な映像、あなたはじっとその動画を眺め続けている。

『１・主人公について』

『ライフ・フィールドの主人公”リトゥ・イル・ソリトス”を紹介していきます。ライフ・フィールドにおいてあなたは彼女、もしくは彼を通してこの世界を生きていく、もしくは自分でオリジナルのキャラクターを作成する事が可能です』

『従来のキャラメイクシステムのあるオープンワールドゲームのシステムと、ライフ・フィールドのシステムは若干異なります。ゲーム開始時点で主人公は名前、性別、才能、容姿などの設定も可能ですが、これらの設定はゲーム中のあなたの行動により少しづつ変化していきます。例えば良い行いをしていれば主人公の顔つきもそれにそぐって優しい顔つきに、逆に悪いこと、主に犯罪行為などを続けた場合は険しく暗い顔つきに変わっていきます。またゲーム中に起きる戦闘行為で傷を負った場合にはその傷跡が残る場合もあります。この傷を治したい場合は”癒しと安らぎの神、サナティオ”の治癒師を捜したり、魔法学校にある治癒薬を捜すのが良いかもしれません。ああ、もちろん成長のスキルによってはあなた自身で薬と作ったり、癒しの力を得ることも可能です。もちろん傷をあえて残すのも悪くないでしょう』

　――あなたは主人公の顔つきがどんどん変わっていくのを目の当たりにする。

桜色の長髪の美少女から、金髪の短髪の吊り目の美少女。

垂れ眼になったり、髪型がまた変わったり、男になったり、目に縦の傷痕がついたり、オッドアイに変わったり――。

『おっと見せすぎたようですね。ライフ・フィールドの世界ではあなたの見た目を大きく変える力を持つ存在との出来事も待っているようです。神や悪魔との出会いはあなたの見た目を神秘的なものに変えることもあるのでしょうね』

『キャラクターにはそれぞれ"生まれ"と"職業"を設定する事が可能です。この２つの組み合わせはキャラクターのおおまかな土台となります。騎士の生まれを選べばより、騎士や貴族社会にふさわしい人物、出来事に多く出会えたり、逆に魔法使いの生まれに学者の職業を選べば、神秘の探究に集中出来る人生が歩めるでしょう、もちろん全く相関性のない組み合わせも自由です、これはあなたの人生なのですから』

騎士の装備に身を包んだキャラが雷を操り、海を割る映像が映る。

チラリと見えた、黒い炎のような光を身体に纏わせていたのは何の職業だろうか。

『主人公の成長はプレイヤーあなたの手にかかっています。経験を積むことであなたの可能性はどんどん増えていくことでしょう。例えば剣をたくさん使うことではあなたの筋力と剣に関するスキルが上がっていきます。スキルを上げていくことで一部の達人でしか成し得ない動きも可能になるでしょう。スキルはこの後説明する”生まれと才能システム”に深くかかわってきます。また経験は戦闘に関することだけにとどまりません。料理、栽培、工作、野営などの生活に関わることや、話術、交渉、目星、値切りなどのソーシャルなもの、さらに魔物知識や、魔法知識などの特殊な技能にかんするものまでさまざまです。あなた好みの成長計画を立て、己の理想の強さを目指しましょう。どんな形の強さであれ、このライフ・フィールドの世界である”アリア・ヴァース”を生き抜く大きな助けとなるでしょうね』

　――あなたはキャラクターが剣を振ったり、杖を振り回している映像を見ている。

スキルが上がっていくことに連れて最初は剣に振り回されていたキャラクターの動きが洗練されていく。

最後には剣をお手玉のようにくるくる何本も手繰りながら魔物を蹴散らしたり、杖で空から巨大な隕石を読んだり好き放題していた。

『さあ、それではこれから、ライフ・フィールドの世界観、ストーリーを説明していきましょう。ライフ・フィールドの世界には大いなる神々がーー』

ぶつっ。

映像が途切れる。

いけない、もうこんな時間だ。