第5話 山賊さん、失礼します!
◇◇◇◇
草木も眠る丑三つ時。
村はずれの森の中。
今日は月明りでよく見える。
お前達の死に顔が!!
「ひゃっほおおおおおおおおおおう!! 術式展開!!」
掌印。集中
来い、熱よ。
回れ、俺の身体を使って。
「"干支百景調伏呪法・干支の亥"」
『ぶもおおおおおおおおおおお!!』
ドロン!!
俺の足元から現れるのは、軽自動車くらいのサイズがある白毛のデカイノシシ!!
この前
”干支の亥”。
まあ、要はでかいイノシシの化け物が人間を紙吹雪のように蹴散らしていく。
おら!! 術式展開!!
「ぎゃああああああああああああああああ!!」
「なんなんだ!? なんなんだよ、このガキ!?」
「こ、殺せ! ガキ1人に何をしてんだ!?」
「"積荷"を守れ! 洞窟に近づけるな!」
「は、話が違う!!! た、単純な荷物運びの仕事だったのに!!」
「けっ、教団の奴らは何を! た、助けっ」
ぐちゃ。
『ぶもおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお』
もやを纏った猪が、たくさんの山賊を高く高くお空へ放り投げる。
すげえ、汚い花火だ。
あ、足とか腕取れてる。
《プレイヤー。山賊の討伐数が100を超えました。”山賊狩り”の称号を進呈します》
謎の声だ。
ふむ、100人。
この1週間で、そんなに。
ライフ・フィールドと同じ感覚で山賊はどうもやってしまう。
これがゲーム脳という奴か?
「ひ……なんなんだよ、頼む、や、やめてくれ……俺達はた、ただ仕事をしてるだけなんだ」
「こ、子供がいるんだ!! 頼む、俺の帰りを待ってる子供が!!」
マジかよ、少しかわいそうになってきたな……。
そうか、こいつらも生きてるんだもんな。
俺が足を止める、その瞬間。
「ガキが!! 油断したな!!」
「足を捥いで腕を裂いて、ゴブリンの巣に放ってやるよ!!」
「ひゃっはああああああああ!! ガキ殺しの時間だぜ!!」
しょぼくれていた山賊が、ギャンっと牙を剥いて。
《プレイヤー。どうやら彼らは周囲の村から子供たちを攫い、奴隷商人に売ったり、楽しみの為に殺したりしていたようです》
「極悪じゃねえか!!」
「「「ぎゃっ」」」
反射的に、熱を、魔力を纏ってぶん殴る。
顔面が潰れた山賊達が、地面に転がって。
「……よし、続行!!」
たのしい山賊狩りの時間だぜ!!
悪役の修行と言えば、これだろ!
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