二〇二三年自選十句

早蕨渚

二〇二三年自選十句

 台風の夜なれば何をするも良し

 苦手なる伯父の障子を開くる音

 龍天に昇る電線夥し

 しやぼん玉輪郭に色集めけり

 薄氷は砂のかたちを映しけり

 美しき苔を見てゐる春の鹿

 借本は香水の香を綴じてあり

 海水帽その内側に残る砂

 あとは寝るだけの手に取る氷菓かな

 知らないは怖い椿の落ち方も

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二〇二三年自選十句 早蕨渚 @Sawarabi_Nagisa

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