11 偵察(前編)
「先生?今夜、妖精体になって王宮を
夕食後、お茶を飲み寛ぐ先生に質問した。エスタ先生は妖精体と言いう言葉を聞き、ビクリとする。
そう、また幽体離脱こと妖精体になって行動してみようと考えた。
彼は気持ちを落ち着けるようにお茶を飲んで答える。
「いきなり、何を・・・それより大丈夫なのか?そもそも王宮の位置とか・・・」
確かに、この世界に来て2日目で敵の本陣へ偵察に行くって言ったら心配になる。
「さっき地図で見たので場所は分かります。北西ですよね?それに、どれくらい体から離れられるかの実験しながらなので、無理のない範囲で行動します。危ないと感じたらすぐに引き返します。」
今後を考えると早めに妖精の姿に慣れておいた方がいいだろう。あの姿で何ができるのか色々確認したい。
「俺も・・・。」
「いえいえいえいえ!先生はゆっくり休んでください!!」
昨日の『誘惑』暴発が頭をよぎったので、必死になって止めた。また暴発するのは
「帰って来てから顔色が優れませんよ。ゆっくり休めていないんじゃないですか?」
それは、私のせいなんですケド・・・
昨日今日と、先生は慌ただしかった。それに国王陛下の救出や召喚で先生は追い詰められている。
このままでは体も精神も持たない。
「先生が倒れてしまったら、国王陛下を助けるヒントが無くなってしまいます。だからお願いです。今日は休んでください。」
先生は不服そうながら、偵察に行く事を了承してくれた。しかし、偵察に関して幾つか注意が有った。先生
上級の魔法使いや、召喚魔法を使う事ができる人物は妖精を見ることが出来る。城は魔法使いのエリートの
出来れば今日は誰にも見つからず偵察したい。私が最も心配なのは契約書の逃亡に掛かる事項。私の本体は先生の近くに居るから、大丈夫だと信じたい。
出発前に湯浴みを済ませ。パジャマを着て布団にもぐり目を瞑る。
体からすっと抜け出る感覚と共に。妖精の体へと成った。
―――よし、念のため声をかけてから出かけるか。
私は先生の部屋の前で声をかける。
「先生、いらっしゃいますか?」
「ああ。」と返事が有り、私はドアを透けて頭だけ部屋に入る。
机に向かい本を読んでいた先生が振り返った。
「先生、それでは出掛けてきます。明日の朝報告しますね。ちゃんと寝てくださいね。」
彼はやや呆れながらも、真剣な顔で返す。
「俺は子供かよ。分かった。十分に気を付けるんだぞ。朝になっても目覚めなかったら、服従の言葉で連れ戻すからな。」
「わかりました。もしもの時はよろしくお願いしますね。」
私はにっこり笑い、扉から頭をひっこめて、浮上した。
夕方確認した店の壁に貼ってある地図を思い出しながら進む。細い月の光を頼りに城へ向かう。
昨日空を飛んでいたのは妖精だった。妖精の中には夜に活動する者もいると言っていた。
かという私もそうである。
見かけた妖精のほとんどは互いを気にせず思い思いに飛び交っている。途中数人の
皆一様に露出度が高く色っぽい。ランジェリーだけか、ほぼ何も着ていない。彼らと目が合う。すると彼らは驚き、私の姿を頭の先から足先まで見ると怪訝な顔をして首をかしげる。そしてどこかへ行ってしまった。
何かまずい事したかな?私は一度止まり、確認する。
私の格好がまずいのかもしれない。パジャマの同族。今のところ目撃していない。
「あなた、そんな恰好で大丈夫?」彼らはそう思ったんだと思う。悪目立ちしているのかもしれない。
このまま城で目撃されても困る。パジャマのサキュバス。特徴が多すぎる。
郷に入れば郷に従えか・・・気乗りしないけど、服を変えてみるかな。
私の特性として・・・
『夢幻』夢の中では自在に自身や環境を操ることが出来る。
これが有るので実践あるのみ。試しに、目を
私は目を開け確認する。服は変わっていた。
できるできる!
しかしこの服装、丈が短いのでいろいろ見えてしまう。それに、この服装の同族もいなかったので、今まですれ違った彼らの服装や、元居た世界での知識を参考に服を想像する。動きやすいのがいい。
黒のホットパンツとビスチェのトップス。網のニーハイソックスとロングブーツ。チョーカー。
こんな感じでいいだろうか・・・同族の先輩方よりやや肌面積少な目だが・・・系統は近い。この体は気温に左右されないのが幸運だ。でも、恥ずかしい。できるだけ目撃されないように頑張ろう。小さく気合を入れて城へと急いだ。
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