第12話 田﨑ヨシコと黒歴史 

俺は藤原ナオユキ

それはまだ俺が中学2年の冬の事


私立の中高一貫校で共学、仏教系のいわゆるそういう学校。

月に一回、全校集会で校内にある変な仏像を拝んで、校長の長い説法を聞く…そういうの本当にダルかった。

自称見える子ちゃんや、選ばれし者とかほざくカス共が多かったから、学校なんて大嫌いだった

(※仏像は本物)


誰だってやんちゃな時期ってあるだろ?


周りの奴らはみんな低能ばっかりで、馬鹿でつまんない奴らだったし

担任は「今でしょ!いつ勉強する?」とかテレビの塾講師の真似事をほざく馬鹿だった


俺は自分のツラがいいのは知ってた、頭もそこそこ良かった

靴箱や机やロッカーに手紙とかよく入ってたけど、中から髪の毛が出てきて気持ち悪かったからそれ以降は読まずに捨てていた。

中学は1クラスしかなかったから3年間同じで、ブスしかいなくて超絶つまらない


ある日

ひょろい男の先輩に呼び出されて行ったら

番長気取りのキモいデブ男が舎弟になれとか子分にしてやるとかほざく。

ドブスのいかつい女をはべらせて馬鹿じゃね?


女「2年の可愛い男の子じゃん、へぇー可愛がってあげようよ」

とか醜女ブスが調子に乗ってた、ヤリ〇ンの汚物が!


「……先輩、水子の霊がついてますよ?2…いや3かな?

それからそっちのあんたも。ちゃんと供養しないと将来産めない体になっちゃいますよ。

今、付き合ってるタバコ臭いオッサンは来年には消えますから」


適当にそれっぽい事言っといた

番長気取りのデブ男はヤリ〇ンの噂があったから

女の方は水子はいないけど、援交の噂があったから適当に言っただけ


女「はぁ!フザケン…ギャッ」

すると番長がいきなり女を殴った。

「お前、緩いと思ったら相手はオッサンかよ!消えろ」


それからギャーギャー痴話喧嘩が始まってサッサと逃げてきた。

その女の先輩が学校中退したとか聞いたけど知らんし。


後日、また呼び出されてそのデブ男にボコられた。

それ以来、変な輩に目をつけられることが多くなった。

「お前の母親、顔にホクロある男と浮気してるぞ」とか

「なんだ、父親も同じ穴のムジナか」とか

「赤い服の女に話しかけられても返事するな」など

適当な事を言って誤魔化して逃げてきた、半分見えてたけど、厨二な時期だったんだ。


高校は別棟にあって、人数も建物も3倍くらいあるけど、終業式の全校集会で見かけるだけで接点がなかった。

登校する門も中学と高校で違う、俺は親に車で送ってもらってたから電車も乗らないし本当に高校生には会わない。


だがしかし、俺がボコられたのが高校でも噂になったらしい。

俺の事は高校でも有名だったから


噂を聞いたレディースの女番長みたいな人

田﨑ヨシコは、俺をボコった中3の先輩の先輩に当たる人。

その田﨑ヨシコは高1でも人望があるのか、人数を集めてきて

「中2の藤原に手だすな」って言って回ってた


頼んでもないのに余計な事してくれる

でも、おかげで俺に絡んでくるやつはいなくなった。

中3のボコったデブ先輩もいつの間にか中退してた。


田﨑ヨシコは見える人だ

(親の車で)登校すると、わざわざ中学の校舎の門まできて待ち伏せして

「おはよう、今日は水難にあうわ」とか言ってくる

すると本当に水絡みの小さな災難にあったり。

たまに外れるけど「今日は〇〇に気をつけな」とかよく忠告してくるようになった


まぁ早い話

俺とその田﨑ヨシコはそうゆう仲になるわけだ

田﨑ヨシコは手が早くて手練れだった…顔がそこそこ良かったのとオッパイがデカくて、まぁまぁ悪い気はしなかった。

授業サボって空き教室でヤったりもしていたし、校舎裏でタバコ吸ったり、つまらない中学の唯一の思い出


今なら高1とかケツのあおいクソガキって思うけど、中坊だった当時は高校生ってだけですごく大人に見えた。

原付きの二人乗りで色んな所に連れてってもらったし、ライブハウスとかヨットハーバーとか、とにかく色々。

それにレディース仲間のまぁまぁ可愛い先輩に誘われて、流れで何人もヤったり…よくある若気の至りと言うやつだ。


あの頃は兄がまだ家出する前で、家の中が荒れてた。正直、外の方がまだマシだった。

祖父ちゃんも跡継ぎ教育とか言って、めちゃめちゃ厳しかった頃だ。

母さんも兄貴の事でいっぱいで、俺が泊まりで帰って来なくても「マサユキのせいでナオまでグレたわ」とかそんな程度だった。


そう、俺は兄貴ほど才能がなかった。

兄貴は期待されてて俺と違って払える人だった、まぁ気色悪い化け物を見る才能とかクソいらねぇって思ってたし


雪がチラつく朝、学校行く前に兄貴が珍しく俺の所に来た。

「お前、今日は行くな…学校サボって山行くなよ?」


「はぁ?」


「…あっ駄目だ、引っ張られてるなクソッ

今日は俺に付き合って遊園地行くぞ!喜べ!好きだろ?遊園地」


「は?無理」


問答無用で兄貴の車に乗せられて、高速乗って県外のショボイ遊園地につれてかれた。

兄貴はおもむろに俺の髪の毛を掴んでむしった。

しかもそこで放置されて兄貴はトンズラ、仕方ないから家に電話して父さんに迎えに来てもらった


挙句の果てには、その日の夜から一週間インフルエンザにかかって高熱で死にそうだった。

スマホも兄貴に取り上げられて本当に最悪だった


翌週、兄貴の意味不明な拉致の原因を知った。


田﨑ヨシコとそのレディース仲間の数人が交通事故で死んだ

気持ち悪いことに、その死んだレディース仲間もみんな俺と関係があった奴らだった。

田﨑ヨシコとその仲間は、いつも乗ってた原付きじゃなくて、無免で大型に乗って雪がちらつく山道を走ってカーブでスリップ

レディースの集会かなんかやってたのか、大勢巻き込まれて助かった奴も大怪我の大事故だったらしい


熱が下って、テレビのワイドショーを見てた母さんが「これあんたの学校の高等部じゃない?雪道のスリップなんて怖いわね」

と他人事のようにチャンネルをかえた。


兄貴は髪の毛を丸刈りにしてた

「俺の髪の毛分感謝しろよ?本来はニュースにお前も載ってたからな?

変なとこ行くな、女は選べ、馬鹿なんだから調子に乗んな、弱いんやからお祖父ちゃんのお守り持っとけよ」


部屋に戻って泣いた

月並に「学校卒業したら家を出て一緒に暮らそう」とか睦言ほざいてたから。

あの頃は若くて馬鹿だったんだよ、でも中坊なんてみんなそんなもんだよな


スマホ取り上げられて、熱でうなされてたから田﨑ヨシコや先輩の最期がどうなったとか何も知らなかった。が、返してもらったスマホに田﨑ヨシコや他の先輩から数件着歴があった…


先輩らはどうか知らないけど、田﨑ヨシコはほぼ即死だとニュースでやってたのに

兄貴の言った通り、俺は田﨑ヨシコに連れて行かれそうだったんだな…チビリそうなほど怖かった。


その後、田﨑ヨシコが妊娠してたって噂があった

高3の先輩が本命の相手だったらしい。

受験で忙しくて相手にされなかったから、別れる別れないで揉めてたから、浮気したとかされたとか…

ただ、分かったことは俺はただの遊び相手だったって事。


しかも遊び相手は他にもいたらしくて、3年の男だったり大学生だったりオッサンだったり

妊娠は本当だったのか…もしかしたら俺の子だったのか、他の男の子だったのか

当時は、面白おかしく噂されていた。


それからしばらく俺も荒れて、出会い系とか他校の女とか手当たり次第、適当にヤリ捨てしてた

やんちゃしてたなぁ、あの頃は…

どうしても逃げ切れない時は兄貴に泣きついて、後始末も兄貴にさせてた。

〇病もらってきて、兄貴に病院連れてってもらったり…今思い出しても本当最悪。


兄「お前もいい加減落ち着け、お前が目をつけられると周りを巻き込むんやからな。お祖父ちゃんの御札はどうした?

お祖母ちゃんみたいな強い人は中々いないんだよ、むやみやたら女に手を出すなよ」


「はぁ?うっせぇ」


俺が高校に上がる頃、兄貴がついに家を出た。

祖父ちゃんや父さんと散々喧嘩して

「マサユキ、あんたいい加減にしなさい!」って母さんが顔を叩いていた。


兄貴は「分かった」とだけ言って、部屋に戻っていて。

そして翌朝には車ごと消えていた。

深夜に出ていったんだと思う


しばらくしたら帰って来るだろうと思ってたけど、3日たっても一週間たっても帰ってこなかった。


2週間してからようやく警察に届けたけど、事件性もなくて

警察官の山田さんも「言いにくいのですが…家出ですよね?」と。

山田さんと兄貴は仲良くて、祖父ちゃんが厳しいとか、家のルール多くてしんどいとか、いつか家出するかもとか色々と愚痴っていたらしい。


母さんはすごく落ち込んでた

最後に殴ったのを未だに後悔してるみたいだから


ただ、婆ちゃんと父さんには1度だけ連絡があって家は継がない事。

既に知り合いの会社で就職してる事、今は関東にいることを一方的に話してきたらしい。


祖父ちゃんは兄貴が出ていって、大事な跡継ぎだと厳しくし過ぎだと反省して少し丸くなった。

だからって俺に跡継ぎ教育するわけでもなかった。

婆ちゃんは、厳しくするとナオまで出ていくから「爺の褒めて育てる教育」にシフトチェンジしてるだけだと言うけど、俺には払える才はない。

兄貴が出ていってから霊障が増えた、つまりはそういう事だ。

お手伝いさんの坊主が遠い親戚だし、跡継ぎにでもするんだろ。



長くなったけどここまでが前置き


なぜこんな事を思い出してるかと言うと、その中学時代から高3まで偶然同じクラスだった野郎が来たからだ。

あの頃の事は、マイには死んでも絶対に言えないし、墓まで隠し通すつもりだった

穢れきった俺の過去などマイが知る必要は無かった。


一泊で退院するはずが、血液検査で何かが引っかかって数日検査入院することになった。

マイが大学の帰りに電車に乗ってお見舞いに来てくれた。


と思ったら、余計なのが付いてきた!

世間の狭さを呪う…マイと同じ大学らしい、そいつとは友達でもなんでも無かったから知らなかった。

大学デビューしたのか茶髪にして爽やかな雰囲気に垢抜けしてた。苛つく!


矢部「やっぱ俺の知ってる藤原ナオユキじゃん、お前あれから全然変わってないな。

マイを開放してやれ…お前、自分がクズだっていい加減自覚してるだろ?」


マイ「ちょっ!?矢部くん?」


矢部「マイは黙ってろ!コイツに大事な話あるから俺に言わせてくれ!

藤原、お前さ、中学の時の田﨑先輩はお前に妊娠させられて崖から飛び降りたらしいじゃないか。女を取っ替え引っ替えして、妊娠したら捨てて次の女に手を出すとかして最低だ!

それにヤリ〇ンから〇病もらってたよな?(ゴミを見る目)

他人の女でもお構い無しで、よく先輩らと揉めてたしな」

(※そんな噂もあった)


「くだらない噂ごときでごちゃごちゃ言ってんじゃねーよ!

そりゃ多少はやんちゃしてたよ、それがなんだ?若気の至りだ」


矢部「お前!最低だな!若気の至りで妊娠させられて捨てられた方は一生傷が残るだろ

他人の人生ぶっ壊しておいて、少しも反省してないのか!クズめ!」


「は?知らないし、他人のおまえに関係ねーだろ!

ってか何なのお前ら!わざわざそんな事言いに来たわけ?

こんな所まで2人で乗り込んできて、ふざけんな!」


矢部だったか…名前すらうろ覚えのどうでも良いモブ男のくせに、マイを呼び捨てにしやがって!!!俺のマイなのに馴れ馴れしいなクソ野郎!


マイは最初は驚いた顔をしてたけど、今はうつむいて泣きそうな、バツの悪そうな苦い顔をしていた


おおかた当時の噂もろとも、色々とマイに吹き込んだんだろう、寺の息子のくせにヤリ〇ンだったとバレてしまった


真面目くんのクソつまんねー矢部と

真面目なマイちゃん

真面目同士お似合いだよクソが!



終った…



何だよ!わざわざ別れるって言いに来たの?

2人で付き合います宣言か?キッモ!!ふざけんな!

嫌だ、俺は絶対に別れないぞ!

確かに、ちょっと不良してたよ?人に言えないことも、ほんのちょっとやって遊んでたし!

でも、わざわざ言いに来なくてもよくない?


矢部「毎晩遅くまで電話してるそうじゃないか、昨日も授業の合間に電話してきたな?

無職の君と違って、マイは大学生で勉強があって忙しいんだ!はっきり言って迷惑なんだよ!」


「えっ!ちょっ違うっ!」

マイはギョッとして矢部を見た


「マイちゃん昨日の夜までは全然楽しそうに電話してたのに!」


マイ「私は迷惑なんて言ってない!」


そりゃそうか迷惑か…じゃあ言えよ!

幼女の守護霊マイ(生霊)だって今もニコニコしてそこに座ってるのに…


矢部「マイが言いにくいだろうから代わりに言ってやる、お前の事迷惑なんだよ!

人の都合も考えろよ!まぁ無職の君には分からないだろうな!どうせいつも昼まで寝てるんだろ?」


「はぁ?」その通りだよ!


マイ「矢部くんもう帰ろう、ね?」


マイちゃん?!

あっ泣きそう…自業自得だけど、知ってるよ、俺は最低だよ。

え、俺…マイちゃんにフラれるの?


矢部「んな!?これ…マイの写真?!……隠し取りの合成写真か?ストーカーかよ!こんなとこに飾って気持ち悪い!

マイのスマホ貸せよ、変なアプリとか入ってるかもしれん」

(※入ってる)


「ナオちゃん…あのっ」


マイが目に涙をためて、別れを告げる前の切ない顔で見てくる


「何?」聞きたくない!


マイちゃん俺、汚れててごめん…でも捨てないで!別れるとか聞きたくない!ヤダぁ(※涙を堪えてる)


「ごめんなさい…」

マイの大きな瞳からポロリと涙が落ちた



あっ フラレた



矢部「泣くなよマイ…ショックだろうけど

マイとこいつでは釣り合わない、悪いことは言わない別れた方がいい」


もう死のう、この世の全てを呪ってやる!

お前ら、みんな、死ねよ!!

死んでマイに取り憑いてやるぅ!!

マイの守護霊(コレ)強そうだけど!

弾かれて消滅して終りそうだけどぉ!

死んでやる!死んでやる!死んでやる!後悔させてやる!目の前で死んでマイの一生のトラウマになってやるぅ!


マイ「うるさい!馬鹿!最低!」


え!?呪言が声に出てた?


マイ「高校のときの友達かもしれないって言うから連れてきたのにぃ!サイテー!嘘つき!

友達でも何でもないじゃん!矢部もう、カ・エ・レ!」


え?


矢部「は?」


マイ「ナオちゃん、ごめんなさぁーい!うぇーん…変なの連れてきてごめんなさい!

嫌いにならないでぇー…うぇぇん、グズッ、うぅぅ

矢部もう帰ってよ!私のナオになんてこと言うの!最低!」


矢部「マイ!おい!話し聞いてた!?」


マイ「私は元カノの話しとか聞きたくないなの!

そんなの、ナオちゃん格好いいんだから話の1つや2つくらいあるに決まってるじゃん!

『彼氏の過去の付き合い』なんでも知りたがる女の子いるけど、私は聞きたくないのっ!

他人の矢部がペラペラうるさい馬鹿!

やっかみ入った噂話しまで真に受けて話して馬鹿みたい!これだから童貞は!

矢部、彼女いたことないでしょ!デリカシー無さ過ぎ!」


え!?


矢部「どぅ!てぃじゃなぃ…」(※チェリー)


マイ「その写真も私が送ったの!合成じゃない仕事先で撮ったやつ!それにナオが飾ったんじゃないし!

ナオはから飾っておきなさいってお祖父ちゃんが言ってたの!

ここ来る時もナースがナオのこと話してたし!

電話も私が好きだからしてるの!

遅くまでナオと電話して、浮かれてちょっと自慢しただけ!迷惑なんて思ってない!

それにナオちゃんは無職じゃないよ!ちゃんと家業継いでるよ、職場で再会したんだから!うちの得意先だよ!

気軽な学生の私達と違ってちゃんと社会人よ!勝手な事ばかり言わないで!

ナオちゃんごめんなさい嫌いにならないでぇ

せっかく彼女になったのに別れるとか言わないでぇ…エッグ、グズッうぇぇん」

(※得意先=バイト先の葬儀会館の契約寺)


矢部「え、家業って…寺だよな?

ってか仕事で撮った写真?モデルの仕事してたの?」


勝ったぁぁ!勝ったぞー!


ポロポロ涙をこぼして遠慮がちにそっと俺の手を繋いでくる可愛いマイ

はうっ胸がキューンってなる!

ベッドから飛び降りてマイに抱きついた。別にいいよね?だって俺のだし


「マイちゃん大丈夫だよ。僕がマイを嫌いになったりしないから」


ほ〜ぅいい匂い、あっ柔らかい

泣き顔も可愛いなぁオイ!ほぉら俺の胸で泣きなさい可愛いマイちゃん


マイ「怒ってない?迷惑かけてごめんね?嫌な思いさせてゴメン」


「うん、怒ってないよ?ちょっと呆れたけど。

アハッうそうそ大好き」


「ナオちゃん」

マイが俺の肩に顔を埋めてギューッて抱きしめ返してくれる

あぁ妄想じゃない本物のマイを抱きしめるのって初めてじゃないか?

柔らかくて気持ちいぃー!

俺はちゃんと、愛されてたんだなぁ

オッパイの弾力が…セーターがゴツい!ってか揉んでもいいかな?


「あーヤベだっけ、まだいたの?陰キャ…影が薄いから忘れてたわ。それ大学デビュー?ダッセェ茶髪だね。

人の女に無いこと無いこと吹き込んで迷惑なんだよ、お前こそストーカーか?

付き合ってもないのに名前呼びとか、常識を疑うわ」


マイ「内藤さん二人いるの…だからお互いみんなに下の名前で呼んでもらってるの」


「よくある名字だもんね、でもさん付けとかね?」俺のマイだから!


矢部「マイ!そいつはヤリ〇ンのクズだって!」


マイ「ナオのことそんなふうに言うのやめてよ!

まだいたの?もう帰ってよ!

大人しそうな私なら何してもいいとか思ったんでしょ!

噂を鵜呑みにしないようにしてたけど…ユウコさんにストーカーしてたんでしょ?

矢部って、女子からヤバって呼ばれてるから!」


マイちゃんキッツー…うわぁ


美人の冷たい目ってクセになりそう(ゾクゾク)

もう明日から大学行けないなコイツ

うわぁ可哀想プクク、ザマァ!俺なら自殺しそぅだ


矢部「……違う」(プルプル震えて泣きそう)


「ヤバいヤベな。女子大生も洒落てんなアハハ

さっさと帰れよ、今からマイに可愛いお仕置きしてやるから。

マイちゃんも、ちょっと目をつむるくらいしてくれるよね?大丈夫痛いことはしないよ?」


マイ「ナオちゃん怒っちゃヤダ」


矢部「違うんだって…俺の姉がコイツにヤられて…」

「まだ言うか!お前の姉なんて知らねーよ!

だいたい勝手にいっぱい寄ってくる女なんて、いちいち覚えてねぇよ!」

(※マイの耳をふさぐ)


矢部「それに俺はユウコさんのことは別に…

マイと仲良いって聞いたから、相談乗ってもらってただけで、それにマイはフリーだって聞いてたし」


マイ「…女の友情ほど脆いものはないね

矢部くん騙されたのよ。私はユウコさんに意地悪されてるからあの人苦手だもん、業務連絡以外で喋ったことないよ」


矢部「そんなぁ、じゃあ今まで何のために…。

ってかなんで俺がストーカーって噂になってるんだよ!」


「知らんし!お前もう帰れよ!

こんな所でマイに粘着してないで自力でストーカー疑惑晴らしてこいよ!」バーカ!


マイ「噂なんていい加減なの分かったでしょ!ナオに謝ってよ!変な噂流して最低ね!」


「マイちゃん…僕は噂とか気にしてないよ」

だって半分くらいは本当の事だからね!今度こそ墓まで持ってく!

マイも聞きたくないなら一生言わないでいいよね?


矢部「…噂を鵜呑みにしてすまない」


納得してないような顔で謝ってきたけど、心底どーでもいい!早く消えろ目障りだ!

「もう帰れよ」二度と来るな!



ヤベとかヤバとか言うのが帰ってから

マイとベッドに並んで座る…壁際に追い詰めて逃げられないようにする!


「さてマイちゃん、大学で意地悪されてるの?」


マイ「意地悪って言うほどでもないの―…」


マイの話を要約すると

返却レポート隠されたり、講師からの伝言を伝えてもらえなかったり、ヤリ〇ンとか陰口言われたりしてるって。

マイは鈍いところあるから、他にもされてそうだ。


フルネーム内藤ユウコ

なるほどな、名前のせいで美人のマイと比較されて妬んで僻んで歪んじゃったなコリャ


よし呪ってやる!

大丈夫だよマイちゃん、君の大学生活は俺が守ってあげるよ


マイ「ナオちゃん、お仕置き…しないの?」


ハイしました!ブチュっとねっとり!

ハァーこの慣れてない感は絶対に処女だよねー


「マイちゃんはその…あるの?」ヤッたの?


マイ「ナオちゃんは気になるの?うーん―…


―……あるよ」


誰だよ呪い〇す!!

えぇー真面目なマイちゃんが?!嘘だろ!


ポツリポツリと言いにくそうに

高2の夏に当時の友達に紹介されて付き合ってた他校の彼氏とやったんだって…うぉぉぉ聞きたくない!


マイ「でも痛くてすぐに辞めちゃったの…

なんか気まずくなってそれっきり自然消滅しちゃった」


「それって最後までやってないんじゃ?」


マイ「うん?…多分?」


それって、最後までやってないって事は、先っちょだけで泣かれて辞めたな?

高校生あるあるだよねー、下手くそだったんだな馬鹿だねー!アハハ!

なら膜まだあるじゃん!俺がいただくよ!


「マイちゃん、それはやってないよ?

だってめちゃめちゃ痛くて血がでるんだよ?出てないよね?マイちゃんはまだ処女だから!

誰ともやってないよ?誰とも何も無いのと同じだから!」


マイ「そうなの?」


「実は僕も初めてなんだ僕ら同じだね(大嘘)マイちゃんが手練れだったら、どうしようって不安だったの」


マイ「え?!そうなの?!」


俺がマイの始めての男になる!そして最後の男だ!!

それなりに経験を積ませてもらったから、マイの初めては余裕で攻略出来そう!デュフフ

初心うぶな演技を頑張ろうっと!


でもやっぱ彼氏いたんだなぁ

高校生の時は三つ編みで前髪ぱっつんのモサ子だったけど。

美人は美人だもんなぁ…

気になるけど聞きたくないって、なんか分かった。比較されてると思うとイライラする


「ねぇ、僕の方がカッコよかった?」


マイ「うん、それはもう」


「ねぇ、何人と付き合ってた?キスは何回したの?」


マイ「…中学の時と合わせて2人、キスは3回くらい?」


ふぅーんファーストキッスは奪えなかったか残念


「ふーん、僕のキスとどっちが良かった?」


マイ「……ナオちゃんです(照)」


「へぇー、で、どこでしたの?」


マイ「………彼の家」


イラッ「ふぅーん、家とかすぐに行っちゃうんだ」


マイ「……………ナオちゃんの家にも行ったよ?駄目だった?」


「隙だらけじゃん!付合ってもない男の家に行くのは絶対に無し!いい?わかった?

例え女の子が何人かいても断わって!

それで付き合い悪いとか言う奴はその程度のみみっちい人間だから!人間関係精算できて丁度いいよ」


マイ「…………」


「返事がないよ?ハイは?」


マイ「うん、本当にそうだなぁって思った。

私って薄っぺらい人間なんだなぁ、すぐに騙されそう」


本当にねー!薄っぺらくはないけど騙されそう!


「何でも僕に相談して?それからでも遅くないよ!

僕もマイちゃんの為に考えるから、もっと寄りかかっていいんだよ?」


マイは可愛い顔で笑った。

チュウのタイミングだと思って顎クイしたら扉がガタガタッて音がした。


びっくりして見たら

幼い守護霊マイが扉を必死に押さえてた。

目が合うと手を離してニッコリして、すうっと消えた

その頃にはマイが立ち上がってパタパタ扇いでいた。


本当に見えてないの?

息ぴったりじゃん!さすが生霊!


母「今、何かに引っかかってなかった?建て付け悪いわねぇ

あらマイちゃんいらっしゃい。

電車で来たんでしょ?同じ方向だし帰り送って行くわ」


マイ「ありがとうございます。駅に自転車あるので(地元の)駅までお願いします。ナオちゃん明日はバイトだから来れないの。早く退院できるといいね」


幼い生霊のマイなら、ファーストキッスも俺になるんじゃ?試してみよーっと!



ナオの言えない秘密――…

兄が出ていってからしばらくして、悪霊と化した田﨑ヨシコに付きまとわれていた。

ナオ自身も未練があり、いつか供養してあげようと思って悪霊を受け入れていた。

マイに再会してから僅かな未練がなくなり

それでもマイの守護霊アレで消すのは可哀想と思って囲っていた。

がしかし、先日の下法に田﨑ヨシコとその水子の魂をカードを切る手札のように使った。それは、まさに鬼畜の所業。

全部自分に返って来て呪詛により凶悪になった田﨑ヨシコに呪われる。自業自得

結局マイの守護霊に消され魂すら残らなかった。

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