第5話

梅雨の時期に入り現在傘を家に忘れてきた今日この頃私は友達も言うて多い方だし友達の傘に入ればいいんだけど…それは我がマイフェイバリットシスターが許すわけはなさそうだから…妹を待つことにした。


「お姉ちゃん待っててくれたの?」

「…まぁそうだね」

「えへへ……お姉ちゃんすき」

「はいはい…私も好きだよ〜」


冷は傘を開いて私もそこに入った。肩が少し濡れてしまってるけど…まぁ冷と相合傘出来て割と気分は悪くないし誤差の範囲内だ。


「お姉ちゃん…濡れちゃってるしもうちょっとこっちに寄ってもいいよ」

「ん〜…冷が濡れちゃうし…いいや……冷が風邪でも引いたら大変だし」

「濡れてるし…お姉ちゃんも風邪ひいちゃうよ?」

「私はいいのよ〜冷のお姉ちゃんだからね」


頭をなでなでしてあげようとすると冷は照れながら

大人しくなでなでされてくれてほんとに姉としては可愛すぎて困りそうだ。


「お姉ちゃんは……好きな人とかいるの?」

「ん〜……いないかな〜…ていうか彼氏作らないって言ったんだし好きな人はいないでしょ」

「念の為だよ念の為…」

「冷はさ…そんなにお姉ちゃん取られるの嫌?」

「嫌だよ……一生一緒にいよ?」

「まぁ……考えとく」


曖昧な返事を返した理由は簡単だ。

いつまでも私が好きとは限らないし…冷には恋人とか作って幸せに生きて欲しいけど同時に独占欲を感じている自分にも少し嫌気がする。


「冷さ……好きな人とかいないの?私みたいにお姉ちゃんだから好きとかじゃ無くてさ恋愛感情としての好きな人とかそういう人いないの?」

「……それは…」


言葉に詰まっているようだし…まだ冷には恋愛は早いのかもしれない…まぁもう少し私が冷を独占できるというのはいい所だが…それはそれとして問題だな。


「冷にはまだ恋愛は早いかな……まぁそのうちわかると思うけど…そのうち好きな人の一人や二人出来るよ…冷は美人だしね」

「……」


冷は黙って私の言葉を無視している。

おいおい…急に反抗期?お姉ちゃん少し悲しいぞ?

いや…そんなこと言ってる場合ではないか…まぁ反抗期になったらなったで成長してるってことだし…それはそれでいいのかも??


「どったの?冷…さっきからだんまりだけど」

「……別に」

「何か気に触る事言った…?何か嫌なことあったら何が嫌だったか教えてよ…」

「別にって言ってるでしょ……」


冷の冷たい側面が私に向けられたことが初めてだった事もあって…雨のせいも相まって私の気持ちが下がってしまう。


冷はさっきからずっと怒りっぱなしだし…恋愛の話が好きじゃないのかもしれない。

家が見えてきて家の前まで来た時に黙っていた冷は

口を開いた。


「私が好きになれるのは今もこれからもずっとお姉ちゃんただ一人だから」


その一言で私の足は活動を止めて立ち止まってしまう、いつもなら私を待ってくれる冷は待たずに家の中へ入っていき私は雨に打たれる。


雨に濡れようがお構い無しに私は外で立ち止まったままその言葉の意味を考えた。


「どういう意味の好き…なんだろ」


今まで考えもしなかった事が頭をよぎった。

仮に私への好きがお姉ちゃんだから…というものではなく…恋愛感情としての好きだとしたら…どうだろう?結構今までの行動にも少し納得がいってしまう。


「いや……でも…そんなわけ……私の考えすぎだよね……」


でも…もし私のことがそういう意味の好きなら…私は冷のことをどう見たらいいんだろう?

お姉ちゃんとしてなのか一人の人間として冷のことを考え手あげるべきなのか…ていうか仮にそうだとしたら私結構取り返しのつかないことしてる気がしてきた…。

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