その日はとても冷たい雨が降っていた。どんよりとした曇り空で、雨はお昼ごろから降り出した。泣いている子供のような雨だった。そんな雨の降る世界の中にみずあめはいた。星が見たいと思った。あの日に見た星がまたみたいと思った。

 ねえ、ひまわり。わたしたちはこれからどうなるのかな? 幸せになれるのかな? ちゃんと生きていけるのかな? なんだかすごくつかれちゃた。嫌なことばかりなんだ。あのころはさ、そんなことなかったのにね。ひまわり。あなたはどうなの? 幸せ? それとも違うの?

 あなたが見ている世界が見たい。

 あなたが生きている世界で生きてみたい。

 その世界はきっときらきらと輝いているのだろう。光に満ち溢れているのだろう。わたしのいる真っ暗な冷たい雨の降る世界ではないのだろう。きっと。……、きっと。

 だからこそあなたはあんなに一生懸命になって生きられるのだろう。あんなに素直に思いっきり、誰にも遠慮せずに笑うことができるのだろう。(そんなことをみずあめは思った)

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