#02 女の子が好きなんだ... 凛side
僕ーー
ちゃんと琴音ちゃんに対する恋心を自覚したのは中学3年の最後の方だった。
けど、僕は自分で言うのもなんだけど、ちょっと臆病なこともあって告白できずにいた。
それに、琴音ちゃんからはどうも男として見てもらえてないようだったから、ちゃんと男として見てもらってから告白をしたかった。
なんだかんだ言って、小学校から今までずっと同じクラスだったしね。
実際、琴音ちゃんの身長が164cmに対して、僕の身長は147cmしかなく、高2の男子からしたらものすごく小さい。
それに、母親譲りの女顔で目がぱっちりしていて、ぷるんとした唇にシミひとつない肌で、髪の毛はサラサラで肩にかからないくらいに伸ばしている、
悔しいけど、鏡を見れば、僕が女だと言われてもあまり違和感ないし、昔から初対面の人にはよく間違えられた。
でも、かっこよくなって男として見てもらおうと、せめて肌の手入れだけは頑張っていた。
まあ結果は女の子の見た目に拍車がかかっただけなんだよね...
♢♢♢
今日も、朝一緒に学校に行く。
若干僕の方が学校に近いから、家を出て少し琴音ちゃんを待つようになっている。
「凛おはよ!」
「あ、琴音ちゃんおはよう!」
今日琴音ちゃんが学校に出るのちょっと遅いなあと思いつつも、テストが近いこともあって、勉強してたのかな?と思っている。
「もうすぐテストだねー、私大丈夫かな...」
「そうだねー、またどちらかの家で勉強する?」
「あ、それいいね!今日の放課後私の家でやろうよ!」
「うん!いいよ!」
大体、どちらの家でやるかは親の都合もあるけど、基本的には交互にやっている。
昨日はできず前にやったのは、一昨日でその時はうちでやっていた。
その流れで今日は琴音ちゃんの家になっていた。
その後も他愛もない会話をしながら、学校に向かっていると琴音ちゃんが歩きながらたまに僕の顔を見てくることに気づいた。
「...」
「どうかしたの?僕の顔に何かついてるの?」
「ううん、なんでもない。ただ今日も凛は可愛いなあって」
「なっ!またそれ?僕は可愛いよりかっこいいがいいんだけど...」
うぅ...やっぱり可愛いって言ってくる。
男の僕としては、可愛いって言われるのはなんか複雑だし、言ってくれるならかっこいいがいいんだけどなあ。
「そのままでも全然いいのに...」
「僕が良くないの!」
「はいはい、そうだねー」
そう言って、僕の頭をいつものように撫でてくる。
そのままでもいいって...
でも、好きな人に褒められるのは悪い気分はしなかった。
それに、頭を撫でられるのは、とても気分が良くなるし、気持ちいい。
学校の授業を真面目に板書を取りながら受けていた。
ちらっと琴音ちゃんの方に目をやると少し眠そうにしていたけど、なんとか昼休憩まで持ち堪えたみたい。
「ふぁぁぁ」
「琴音ちゃん眠そうだけど大丈夫?」
「...うん、ちょっと眠いけど、午後はなんとか耐え切るよ...」
「ちゃんと昨日寝たの?」
「勉強して本読んでたらちょっと遅くなったかも...」
「ちゃんと寝なきゃ体に悪いからちゃんと寝てね?」
「凛は私のお母さんか」
「お母さんじゃないよ!」
うぅ...琴音ちゃんが眠そうにしていたから心配したんだけど、お母さん扱いされるし...
テストが近いこともあって、勉強するのはいいけど、それで寝るのが遅くなって、体調を崩したら元も子もないのに...
「ほら今日も放課後琴音ちゃんの家で勉強するんだから頑張ろうね!」
「うん...わかった」
自慢するわけじゃないけど、僕の方が頭がいいから、今日も放課後、わからないところを琴音ちゃんに教えながら、僕自身の復習にもなるから、放課後一緒に勉強するのは、僕にとって一石二鳥なんだよね。
♢♢♢
放課後、テストへ向けて勉強するために琴音ちゃんの家にやってきた。
「お邪魔します〜」
「いらっしゃい。飲み物持って行くから先に部屋に上がっておいて」
「わかった」
いつも通り、先に琴音ちゃんの部屋にやってきて、荷物を下ろして、ちゃぶ台の前に座った。
いつもなら、綺麗に片付けてあるはずの机に、珍しく漫画が置いてあった。
ちょっと気になって漫画を開いてみると、中は可愛い女の子と別の可愛い女の子がイチャイチャするものだった。
「え...これって...まさか、本当に僕のこと異性として見られてない...?」
恋心を自覚した頃から、少しずつアピールしてきて、友人としては深くなったと思う
けど...
「さすがに、女の子にはなれないよ...」
そんなことを考えていると、琴音ちゃんがやってくる音が聞こえた。
咄嗟に、漫画を自分の背後に隠してしまったが、やっぱり戸惑いは隠せなかった。
「お待たせー、ジュース持ってきたよー」
「あ、ありがとう...」
「...?」
「あ...あの、琴音ちゃんこれ...」
「...あ...あ、こ...これ、どこで」
「えっと、ちゃぶ台の上に...置いてあったよ?」
「うそ...あぁぁ」
あの漫画を見せた瞬間、琴音ちゃんが一気に青ざめるのがわかった。
漫画を奪って、後ろを向いたままかがみ込んでしまった。
それに、めちゃくちゃ震えている。
僕が異性として見られていないことはショックだったけど、とりあえずは、何も気にしていない風に接しておかないと...
「え...っと、琴音ちゃん?とりあえず片付けて勉強しよ?」
声をかけて見たけど震えたまま、動かなかった。
なんとも言えない雰囲気になって、しばらくすると琴音ちゃんから話しかけてくれた。
「ね...ねぇ...凛」
「どうしたの?」
「私って...変だよね...?」
「そんなことないよ!」
「でも私...」
「琴音ちゃんはただ可愛い女の子が好きなだけでしょ?」
「...うん」
「それを僕は...否定するつもりはないよ」
「凛...」
少なくとも、ことねちゃんが可愛い女の子が好きだからと言って、僕がそれを否定するわけがない。
仮に一方通行の行為だとしても、僕が琴音ちゃんのことが好きなのは変わりないのだから...
それに、異性として見てもらえないのなら、せめてこの関係を続けたかった...
「ほら、勉強しないとまた成績下がるから、今日の分の勉強やっちゃおう?ね?」
「...うん、ありがとう」
それからは、何事もなかったように勉強した。
今は少し考えたくなかったから...
勉強が終わった後は、少し気まずい雰囲気になったが、なんとか笑顔で別れて、自分の家に帰った。
ーーーーーーーーーー
あとがき
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