20話『それからの日々』
退院するその前から、翔は警察の入職試験の勉強を始めた。書籍やネットの情報をかき集め、出来る事は全てした。
優はゴールデンウィーク明けから学校に通う事に決めた。その間は翔と同じく学校の勉強についていけるように自習をしていた。
武爺は警官と共に外で情報収集のためのビラ配りをしていた。その他に買い出しや翔達の勉強の手伝いも行ってくれた。
貴美子婆は味を中心に行ってくれた。武爺との買い物や料理や洗濯や掃除などを行ってくれていた。段々と翔達の役割分担が明確になっていくにつれて日々は進み、世間でいうところのゴールデンウィークが始まる前、翔は入試試験を受けに行く事になった。
準備は万端。あとはやれる事を精一杯やるだけだった。試験当日は、武爺達が近くのカフェや商業施設で待機していてくれた。
翔の出来栄えとしては満点すら取れる自信があった。結果については最大一週間待つ事になっていた。
しかし、翔の元に結果が届いたのは二日後と早かった。結果は合格。一次試験が受かり、次は面接だ。面接に受かったら回らない寿司屋に連れて行ってやると武爺が言ってくれた。貴美子婆はまだ気が早いですよと言いながら、優に何を食べたいか聞いていた。優は食べられるお寿司の名前を羅列していて、皆の気が早いながらも、それが翔の励みにもなった。
この生活を、家族を守るためにも、面接だけは何が何でも通らなくてはならない。そこが翔にとっての登竜門の始まりだと感じた。
そこから面接日はスムーズに決まり、面接当日、翔は学校の制服を着て出かけた。場所は様々な企業が入っているビルの貸し会議室だった。
その場所の待合室には、翔と同じくらいの学生から団塊世代の人まで様々だった。順番に面接をしているのだと思われた。
翔は緊張しながらも、考え来た回答や言うべきことを何回も心の中で練習して呼ばれるのを待った。案内役は翔と同い年くらいの女の子で、その子が面接室まで案内してくれた。
そして、その扉を開けた時だった。
女性と男性の面接官の間に挟まれた凛を見たのは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます