第5話 日常 4

「ただいま…」

誰もいない部屋に虚しく響く声。


ここが鈴木の住んでいる家。築30年程の木造アパート。入居者は鈴木含め10人にも満たない。住んでいる住人は殆どが無能者だ。


「ふぅ…疲れた…」

鈴木はいつも通りのルーティンを行う。まず、風呂に入る。その後、学校で殴られ蹴られた箇所に湿布や痛み止めを塗りながら、用意しておいた夕飯を食べる。


作り置きしておいた野菜炒め、白米を一杯。少し味が濃いな、食べながら鈴木は思う。TVを付けると、ニュースが映った。「防衛隊が前線を死守し、特級クラスも数体討伐に成功したようです。そこで防衛隊は、、、」


「防衛隊、、、」

そういえばアイツらも防衛隊に入隊希望だったな、一緒に入隊しようと約束もしたっけ、でも俺には関係ないことか、と鈴木は思う。考えに耽っていると、もう21時を過ぎていることに気づいた。鈴木はTVを消して、食器を洗い、洗濯物を片付ける。布団の準備をし、歯を磨く。口を濯ぎ、歯ブラシを元の場所に戻し、布団の中に入り、電気を消す。明日に備えて就寝する。


変わり映えのない日常。これが鈴木の全て。

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