第3話 日常 2

鈴木は汚れた制服からジャージに着替え、アルバイト先へと徒歩で向かう。その途中、校門の前でさっき通り過ぎた教師と会った。


「…さっきぶりだな。」


「そうっすね…」


教師は少し顔を顰めながら、

「お前は、何にも感じないのか?あれだけ殴られ蹴られて。*無能者*だからと言うだけで。」


「…事実ですから。」


「そうか…」「お前は…いや、何でもない。」


「じゃあ、俺バイトあるんで。」


「あぁ…気をつけて帰れよ。」


校門を出た鈴木の背中をを、教師は数秒見つめ、そのまま校舎へと戻った。



「お疲れ様でーす」「おつかれー」

鈴木はアルバイト先に到着した。ここは養護老人ホーム。通称、特養と呼ばれる場所だ。主に自宅での介護が困難となった、認知症高齢者が過ごす場所だ。


そこで鈴木はアルバイトしている。



 

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