第7話 うそつき

「え、あなたはこのキャルキャンを作ったあの猫だったんですか?!」

ダリアは、聞きこんでいたガロンの話が意外な方向につながったことに驚いた。


「ああ、まぁあれは偶然だったけどね。あのときは、人間達のテレビもやってきて取り上げられたりして、騒がしかったな。あ、ちなみに缶のイラストのネコちゃんはわしがモデルな。」


「僕も、キャルキャンが届いた日のこと覚えています。食べやすい大きさで、味も濃くて美味しくて、あれからキャルキャンが待ち遠しかったです。」


「そういってくれると嬉しいよ。こんな話さ、家族に会いに行くっていうキミがたまたま通りかからなかったら、しゃべれなかったよ。ついつい長く話してしまったね。わしにもそんな日が来るかもしれないなんて、いなくなったあいつにまた会えるかもしれないなんて希望を感じてさ。」ガロンはにまりと笑った。


「でも、でもそんなあなたがなぜ、また死のうなんて思っているんですか?」

ダリアの質問に、その真っ白な老猫はしばらく沈黙した。


「はて、わしそんなこと言ったかの?

だとしたら、そうでもして話を聞いてほしかった、ただのホラだにゃ。わしヒマだにゃん。にゃんか深刻な顔してる猫みたら、嘘ついてからかいたくなっちゃうんだにぁあ。」


「ニャー♪ガロ爺!また変な話を若者にしてる!」突然、元気な雌猫が現れた。


「もう、気にしないでこの猫。たまに変な話するエロジジイだから。」


「こら、ニャミ。今日はまだエロい話はしてないわ!ワシはこの若者にだな、武勇伝を語っていたんだにゃ。というか巨商伝だにゃ、今日のは。ちなみにに成幸するには、良い未来だけを想像し続けるのがコツだにゃ。


ダリアよ、よかったらまた帰りにでもよってくれ、ニャミも来たし、またキャルキャンでも食べよう。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る