Road to Hana(3)---Hotel Hana Maui---

 ハナの街は、太陽が常に降り注ぐ燦燦とした雰囲気のマウイ島西側のイメージとは異なる。

 たどり着くまでの気が遠くなるほどのカーブ、熱帯胃雨林に覆われた狭く長い道の果てに街はある。たどり着くには、かなりの苦労が伴うこと。

 貿易風の影響で少しばかり曇りや雨が多い気候、西海岸ほど人口が多くなく、にぎやかではない、いや、どちらかというと静か、いや少し寂れた雰囲気がある。


 Heavenly Hana といわれる割には、ホテルは1軒、コンド、バケーションレンタルが数件、レストランは街中に1つあるが、ほぼランチのみの営業であり、晩飯を食うには、あらかじめ食材を調達しておくか、唯一のホテルであるハナマウイのレストランで摂るしかない。

 しかも、街中にはハセガワジェネラルストアくらいしか、まともな店は無い。


 そのため、ホノルルのようなコンビニ生活に慣れた人たちは、あえてここまで泊まりに来ることは、まずない。

 普通の生活からかけ離れた、何もない生活、ある意味不便さを求める人たちがやってくるだけの街である。

 (しかし、そのようなハナも、今では複数のホテル、コンドも作られ、街中にショ 

  ップやレストランもできるようになり、以前のような雰囲気は消え去りつつあ

  る。)


 いくら小さい街とはいえ、移動するには車は必要たし、他の交通手段はタクシーさえもまずない。

 車も預けたので、外出は翌日以降にして、ホテル内をぶらぶらすることとし、自分のコテージから海に向かって歩く。

 シーランチコテージは、エントランスがあるメイン棟から海に向かってなだらかに下がっていく斜面に点在している。そのため、どのコテージからも、海が見えるような仕組みになっているが、レッドサンドビーチ側のコテージの方が、配置がゆったりとしている。


 ホテル前のビーチは溶岩海岸なので、泳ぐことなどはできない、ビーチでのんびりしたければ、ホテルからは少し離れたレッドサンドビーチかハナベイビーチパークに行かなければならないが、ホテルスタッフは、レッドサンドビーチはプライベートプロパティだから、行かない方がいいと言っていた。


 コテージの間の道を歩いていると、きれいに整えられた芝生が目に入ってくる。

自分の部屋から見た景色も、まず目に入るのは一面の芝生、そしてその先にある海である。これが、ホノルルにあるホテルだと、オーシャンビューであるとしても、海以外に何らかののが目に入ってくるが、ここでは余分なものは目に入らない。

 本当に、文明、文化的な余分なものは、極力排除されている空間だと感じながら、メイン棟へ歩いていくが、緩いとはいえ坂道は応える。


(続く)

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