Road to Hana(4)---キパフルとリンドバーク---

 翌朝、天気は東海岸の割には晴れていたので、リンドバーグ氏の墓を訪れることとする。

 リンドバーグ、ここでいうリンドバーグはロックグループではない、そのグループの名前のもとになった人、もっと言えば、「翼よあれがパリの灯だ」(本当に言ったのかは?)というセリフを思い出してほしい。


 そう、冒険飛行家、という言葉が世界で普通に話されていたころの人のお墓である。チャールズ・オーガスタ・リンドバーグが正式な名前である。

 世界で初めて大西洋単独無着陸飛行を成し遂げた男、飛行機乗りであれば一度は聞いた名前であろう人、その人は、ワシントン、パリの郊外のにぎやかな墓地ではなく、ここマウイ島の東の果てハナからもう少し離れた教会に眠っている。


 彼の生きざまは、色々と紆余曲折はあるが、最後にはマウイ島キパフル(ハナの街からもう少し南に下がったところ)の別荘でその生涯を終えた。

 色々あった人生で、最後に選んだ場所がどんなところだったのかを確かめるために、ホテルから車を走らせた。


 ホテルからハナハイウェイを南に車を走らせると、ハナの街を抜け、熱帯雨林の間を通り抜けていく、熱帯雨林の合間に忽然と住宅が出現したりする。住宅は、周りの景色に溶け込んだ外観とたたずまいであり、とてもホノルルと同じ、いや同じマウイ島のカフルイやラハイナと同じ島であるとは感じさせない風景を作っている。

やがて、左手に海側に向かう小さな小道が見えてきた。


その小道に入り、数百メートル進むと、道は行き止まりになり、突き当りに車を止める。目の前には、小さな教会。

 ここが、あのリンドバーグが眠っている教会なんだ、私は若干の身震いとともに車を降りて、案内に従い教会の脇を通り彼の墓を訪れる。

 その墓は、周りをティだったかに囲まれた以外は、墓石も彼の業績や名声からは想像できない、シンプルなものであった。

私は、その墓石の前にしばらく敬意を表しつつ、佇んでいた。

(続く)

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